やる気アップ・ダウンの原因を探る

個人の目標達成に向けて、やる気を維持できるかということが大切な要素です。

自身にとってやる気アップおよびその逆のやる気ダウンすることを、それぞれ五つ挙げ、どうしたらやる気の喪失を防ぐことができるか検討しました。

さっそく、やる気アップに繋がるものから、リストアップします。

一つ目は、目的が明確で目標を目指しているときです。会社員の場合は、やる気をアップさせるには、会社の目標と個人の目標を限りなく一致させるような努力が必要です。

二つ目は、人から認められることです。お客様の満足が得られ関係者から評価いただくことです。仕事に関わらずお客様の反応を知ることは大切な要素です。お客様からの感謝のお言葉かけていただくときは、この上ない喜びを感じます。

三つ目は仕事などに面白みを感じ自主的に改善・提案ができ、自身の成長に繋がると認識できたときです。自ら提案し行動し成果が得られたとき達成感が味わえます。どんな仕事でも主体的に行動するような取り組みが必要です。

四つ目は、同僚 上司 家族等、人間関係に心配ごとがないことです。同僚や上司、また家族、特に配偶者とは、毎日少しでも会話できるように、何でも話せるような雰囲気づくりが必要です。

五つ目、給料、勤務地など生活が安定することです。報酬が多いに越したことはありませんが、やりたいことの時間確保と報酬のバランスが重要です。

次にやる気ダウンに繋がることから、リストアップします。
一つ目、何のために行うのか目的がはっきりせずに目標が適切でなかったことです。目的を明確にし、道順を考えそのステップとして実現可能な目標設定してゆくことが大切です。

二つ目、一生懸命がんばったのに関係者の理解が得られず、努力、成果が正当に評価されないことです。常日頃、上司・同僚や家族とのちょっとした会話を心がけ、価値観についても理解しておくことが必要です。

三つ目、体調不良になったときです。病気になりにくい体を作るために生活習慣を見直すなど健康面で常日頃から気を付けることです。

四つ目、やるべきことが多くストレスを感じる時です。何でもかんでもTo-Doリストに埋め込んでしまうことです。 To-Doリストの中で日々アクションするものについて、10件程度に抑え、詰めすぎないようにする意識が必要です。

五つ目は意外かもしれませんが、期限がないことです。期限がないということは、締め切りがないため、いつでもできると思って安心してしまい結局できていなかったになります。必ず期限を設定する必要があります。

以上のようにやる気アップする要因とその逆にやる気ダウンする原因から、考察しますと自身にとって、やる気が喪失する原因が、より明らかになり、対策を立てやすくなります。

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パーソナルPMのフレームワーク

パーソナルPMのフレームワークを下に掲載してみます(あれ、画像がちょっとボケますかね。画像をクリックしていただくと鮮明なのが出ます)。

私は、その昔自分のTo-doリスト項目が完了した時に、気づいたことを項目の右にちょこっとメモするのが習慣になりました。自分用なので一言だけなのですが。数年やっていると、同じ気づきが何度も出るのがわかりました。同じことを何度も書かないようカテゴリー化しまして、自分専用のチェックリストの目次にしたつもりでした。つまりこの表の「活動」の右側には、私の場合いろんなLLが自分専用のひとことで色々溜まっています。それを他の人が分るように今後書きたいと思っています。

そういうわけで、パーソナルPMのフレームワークはこう分けなければならないというわけではなく、自分用に10年続けた結果がこうなったというものですから、人によって異なることがあって当然かもしれません。たまたまそれを5年前にフレームワーク例として、現在のパーソナルPMコミュニティの皆さんに提案した結果、次のような表に落ち着いてきたものです。今回皆さんがたくさん投稿される内容によっては、必要があればこのフレームワークも更新したいと考えています。

この表にある「知識」の内容は、組織用のPMと重なるものがありますが、個人のPM独特の内容もあります。これをどういう風に見て使うとよいかについては、今後どこかでまた書くとして、色々ご想像いただくとよいと思います。色んな知恵を溜めたり参照したりするには、何か目次があると便利ですね。BOKと呼ばれるものも同じような理屈があるわけすが。まずはとにかく掲載まで。

パーソナルPMのフレームワーク

個人プロジェクトでの達成経験を積み重ねる

「今年の夏こそ、家族とともに米国の友人家族を訪ねて、子どもに海外体験をさせてあげたい」と、この十年、思ってきました。しかし、例年の如く、金銭、時間の都合によりそれを達成できなかった夏の終わりの日、以前から「無駄なお金と時間を使っているのではないか」と気になっていた、自身の喫煙習慣に思い至りました。そして、「いったい、私はタバコにいくら、そしてどれだけの時間を使っているのだろう」との考えから、年間の費用と時間を試算してみることにしました。

『410円×1.5箱/日×365日/年=224,475円/年』

『3分/本×30本/日×365日/年=32,850分/年=22.8日/年』

おそらくは無意識に目をそむけていたであろう、この簡単な計算結果を見て、私は衝撃を受けました。「喫煙の習慣さえ変えることができていたら、少なくとも2~3年に一回は家族で米国に行くことができた」ことに、そして「自ら決意して実行すれば達成できることすら、自分はしていなかった」ということに・・・

『心は行動となり、行動は習癖を生む。習癖は品性を作り、品性は運命を決する』という言葉があります。そのサイクルを変えるスタート地点は、もしかしたら“心”ではなく“習癖”なのかもしれません。そう考えると、「習癖を変えることで、行動を変え、心を変えることができるのではないか」、ひいては「その変わった心で毎日の仕事や生活に取り組むことで、運命を変えられるのではないか」という思いも昂じてきました。そこで、喫煙の習慣を早朝のランニングと筋トレの習慣に入れ替え、禁煙を達成する、個人プロジェクトを始めることにしました。目標は、来年の夏こそ家族で米国に行くことです。

それから2ヶ月、このプロジェクトには、目標の達成に近づくことに留まらず、達成に至る過程に多くの副産物があることに気づきました。家族と一緒に過ごせる時間が増えたことや、木々や鳥、青空に洗われた心で職場に向かえることはその一部です。加えて、「自分は自分自身をコントロールできる」「自分は諦めずに努力できる」という意識を、些細なことでも毎日やり遂げていく中で、少しずつ取り戻せるようになってきたことが最大の副産物ではないか、と感じています。

エジソンは『私達の最大の弱点は諦めることにある。成功するのに最も確実な方法は、常にもう一回だけ試してみることだ』という言葉を残しています。多くの先達が伝えるように「諦めない内は失敗ではない」のです。そして、続ける姿勢、それを支える自信を得るには、物事を達成した経験を積み重ねることが有効だと思います。

その反面、現代社会は、“諦める理由”がたくさんある、“達成感を感じづらい環境”になってしまっているように思います。居ながらにして膨大な情報を入手できるネットは、何もしない内から前途の難関や結果を否応無く思い起こさせます。職場では、“うまくいって当たり前”という状況の下、複数のプロジェクトに組み込まれ、達成した喜びを得る間もなく次のプロジェクトに忙殺されざるを得ない方も少なくないと思われます。もしその流れに身を委ねるだけになってしまったら、「結局、自分自身さえコントロールできない」という考えに陥ってしまうかもしれません。

その対処の一つとして、関心をお持ちの身近な分野について個人プロジェクトを始めてみたらいかがでしょうか?個人プロジェクトはステークホルダーが少なく、努力が成果に直結しやすいと言えます。自分で自分をコントロールしながら、諦めずに目標達成に向かっている感覚を得られます。たとえ小さくても、プロジェクトの過程と完遂を通じて得られた達成感、自信、やり続ける習慣は、自らの心を変え、ひいては運命を変えるきっかけになると思っています。

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PM実践力向上は、身の回りの身近なテーマから

個人の場合、身の回りに身近なプロジェクトが存在します。しかも対象領域が広くプロジェクトマネジメント(以降PMと呼ぶ)実践力向上の訓練としてはうってつけです。

組織のPM例えば新製品開発の場合は、期間が一年から数年に及びますが、個人の場合、期間は数日から数週間、長いもので半年程度です。よって個人PMの場合、短期間に成果や反省点が浮き彫りになり次回へフィードバックが迅速にできます。PMの視点で考察しますと新製品開発が顧客や会社の経営陣、個々の職能の責任者、プロジェクトメンバー間とのコミュニケーションにかかるウェイトが高いのに対して個人の場合、自身の動機付けをどのように高められるかという点が大切だという点が異なります。

新製品開発プロジェクトを成功するためには、PMの研修を受けて、組織のPMに活用することもありますが、研修の内容をそのまますぐに現場で役立たせるには、難しい点があります。大抵、リスクの影響が大きく失敗が許されないケースが多くあるからです。また同様のプロジェクトを経験するという方法があります。しかし新製品開発のプロジェクトは期間が長く、また業界特有の知識の習得にも時間がかかり、一連のPMの実践経験という点では必ずしも十分ではありません。そこで個人PMによって自身のマネジメント力の強化を実践し、上記のような違いを認識し組織PMに必要なプラスアルファ部分を補うというやり方があります。身の回りのテーマで個人PMとして意識し、To-Doリストの活用、中長期の目標や直近の目標設定、WBSの展開、スケジュール、コスト、リスクマネジメント、Lessons Learnedの記録といった点などPMとして必要な要素の体得を繰り返すことです。

新製品開発において、プロジェクトはプロジェクトマネージャーのもと企画部門、営業部門、技術部門、調達部門、工場等各職能部門の代表から構成される横断チームで構成されます。更に各職能部門においても、数人また数十人からなるメンバーがプロジェクトに関わっています。このように新製品開発プロジェクトを分解すると究極は個人です。身近なテーマで個人PMによるWBSの検討またはTo-Doレベルのタスクの洗い出しによる訓練が、新製品開発に役立ちます。新製品開発では、職能部門内外のまとまりとして統合WBSとして管理します。個人のPMに加えて、統合のマネジメントやコミュニケーションを意識し業界固有の関連知識を追加すればよいのです。

プロジェクトのサイズに関わらず、PMの基本は変わりません。 PM実践力向上は、身の回りの身近なテーマにおいて個人PMとして経験を積み上げる方法が最も効果的です。

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GTDのフェーズに従ってTo-Doリストの活用を点検

個人のプロジェクトマネジメントにおける段取りとしてTo-Doリストの活用があります。To-Doリストは、文字通りやらなければいけないことの一覧であり個人にとって身近なPM手段です。他人に対する「約束を守る」ことはもちろん、自分自身に対する「約束を守る」ことにも役立ちます。

To-Doリストの活用に密接に関連するものとして、GTDの手法があります。

GTDとはGetting Things Doneのそれぞれ単語の頭文字をとったものです。David Allen発案による仕事を成し遂げる為のタスクマネジメントの手法であり、世界的にベストセラーとなっています。基本は「なすべき仕事のリスト」を何かに記録しておくことで、頭の中から「なすべき仕事のこと」を追い出すこと。その結果、頭の中はすべき仕事全部を覚えなくてもよくなり、すっきりとリストに基づき実際の仕事をこなすことに集中することができるのです。

GTDは五つのフェーズから成り立っています。まず収集、頭の中にある「やらなければならないこと」「気になっていること」を書き出す。二番目に処理、次に取るべき行動を決める。三番目、整理、プロジェクトとして取組み、カレンダーへ盛込み、空き時間に対応、連絡待ちといったカテゴリーに分ける四番目見直し、「次にとるべき行動」リストを毎日見直す。五番目実行、リストアップした「出来ること」の優先順位を考慮し行動に移します。

GTDにおいて43Foldersという考えがあります。一か月31日と一年12ヶ月の数字を足した数字のフォルダーを用意し、管理する考え方である。いつやるかということが明確になり、整理することが習慣になると大きな効果が発揮できます。

GTDのフェーズに沿って、自身のTo-Doリストの活用について振り返ります。最初に直近の仕事や生活に関するTo-Do項目の案出しを行います。中長期としてやりたいことを頭に浮かべることも必要です。次にTo-Doリストへ盛り込み、日々更新します。一か月以上先の予定はカレンダーへ盛り込みます。To-Doリストへ無い項目で実施したものは、後付けでTo-Doリストへ盛り込みます。一週間単位で振り返りますと、いろんなことができたという達成感を味わうことができます。三番目のステップとしてTo-Do項目個々の重要度、緊急性(期限)、時間見積もり、一週間以内で対応できるものかそれ以上かかるものか見極めます。時間のかかるものはプロジェクトとして意識し、別シートでWBS(Work Breakdown Structure)を作成して取り組みます。一週間以内の直近To-Doリストおよび数ヶ月先のものまで見通します。隙間時間ができたときに先にやるべきことが頭にあれば、少しでも前倒しで対応することができます。四番目のステップとして朝一、仕事に取り掛かる前の数分間を活用し自身で見直しを行い、完了したリスト項目を色塗りで消してゆきます。消すことによって、完了できたという充実感を味わうことができます。そして次のアクションが必要なものがあれば追加していきます。最後にTo-Doリストの期限、見積もった時間を意識して実行します。時間が余れば、To-Doリストの期限が先のタスクやカレンダー上に記載あるタスクも前倒しで着手し、時間の貯金作りができます。

To-Doリストを活用することで、直近一週間のやるべきことが明確になり、仕事や私生活で他の人との約束を守ることはもちろん、自身でやるべきことに対して漏れや忘れることがほとんど無くなりました。

ただ、自身の反省点として、カレンダーに記載したものが、To-Doリストへの記載が漏れたことがあり、大事な会議や自身の成長に繋がるセミナー等欠席といった失態を発生したことがあります。カレンダー上に記載したものも、必ず直近になると、To-Doリストへ記載を忘れずにすることの大切さを痛感しました。To-Doリストの活用がうまくやれるようになると「忙しい」という言葉を発する機会が少なくなります。

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目標の上位に目的があることを意識する

目標達成できなかったとき、その原因を探ると、何のためにするか目的がはっきりしないことがあります。辞書(デジタル大辞林)によりますと、目的は「実現しようとしてめざす事柄、行動のねらい、めあて」であり、目標は「そこに行き着くように、またそこから外れないように目印とするもの」です。マネジメント理論の中では「目標について活動の目的や課題に期間と到達レベルを加えたもの」と表現されています。目的を意識し達成可能な目印として目標をかかげ、着実に達成を積み上げてゆくことが効果的です。

自身が取り組んだ事例を二つ紹介します。ひとつめはメタボリックシンドローム診断によってメタボ予備軍と診断され、課題として取り組んだことです。目的は「生活習慣を見直し健康的な身体づくりを目指すこと」としました。最初に達成可能な短期目標として「体脂肪を削減するための減量」に取り組みました。当面の目標に集中して意識し「減量」を数ヶ月で達成しました。短期目標としての減量の目標を達成した後、目的を改めて認識したこともあり、標準体重の大切さを認識し「体形維持」に取り組みました。また生活習慣の改善が必要ということに気づき、よりよい「生活習慣の定着」といった意識改革に取り組みました。

一年後の定期健康診断の時には、メタボ予備軍からは脱出することができました。その後ほっとしたせいか、油断があり一年毎に1kgずつ体重が増え血圧の値も状態を維持することはできませんでした。再度、前記目的を意識して「減量および血圧対策」の取り組みを開始しました。日々一万歩を歩く目安とし階段の利用を心がけること、加えて早足での大股歩行をすること、更に食事面の改善です。健康寿命にとって小食(節食)がよいので、今まで満腹感が得られるまで食べていたことを改め腹八分にすること。また体調を整えることに効果がある食物繊維を豊富に摂取すること。更に発酵食品のさまざまな有用性を考慮して積極的に摂取することにしました。もともと少量で赤くなるタイプのためアルコールはコップ一杯程度におさえるといったことも心がけました。本ケースで目的を意識せず、ダイエットのため、数キログラムだけの減量だけを目標としていたら、その目標だけを達成し満足して時間がたってからリバウンドして元の体型に戻り、後で何のためにダイエットしたのだろうかと思っていたに違いありません。

もうひとつ事例を紹介させていただきます。定年後の生活を考えている50歳代の方に特に関係あるテーマです。会社の年金制度が確定給付型から確定拠出型となり、会社の保障から個人の自己責任による運用へと変わることになりました。年金も2014年4月以降60歳を迎えた方より61歳以降に2年毎に公的年金の受給開始が遅れることにより、60歳以降考えると資金運用を含めたお金に関する知識の必要性を痛感しました。更に会社での休日を利用したライフスタイルセミナーを受講したこともきっかけとなり、お金に関する知識が必要だということを強く認識しました。

そこで「お金に関する知識の習得」ことを目的としAFP(Affiliated Financial Planner)資格取得を最終的なゴールとしました。ファイナンシャルプランナー知識はライフスタイル・資金運用・税金・リスク(この場合は保険)相続等幅広い知識が必要とされます。生活に密着し、これからの人生設計に必要だという認識を持ったことも目標として目指した要因です。一挙にAFP資格取得を目指すのではなく、目標の構造化によりゴールを目指すこととしました。最初の短期目標はファイナンシャルプランナー3級資格取得、中期目標としてファイナンシャルプランナー2級資格取得、AFP認定研修終了後最終的にAFP資格習得することを目指しました。

一気に最終のゴールを目指すのではなくその道筋を考え、そのステップとして実現可能な目標を設定し積み上げていく姿勢が、結果として無理なく目的の実現に結び付きました。本ケースでは、いきなりAFP資格を目指すというやり方も考えられますが、集中した勉強時間の確保、やる気の継続、費用の確保といった課題があります。

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ペース配分にアーンドバリューマネジメントを使う

個人にとって最も大切なリソースは何でしょうか? それはまぎれもなく時間です。人生は有限ですから。個人にとっては同時進行するタスクやタスクより込み入ったプロジェクトが常時、小さいものから大きいものまで存在します。数分で対処できるものから百時間以上かかるようなものまでまちまちです。 複数の目標を同時に達成するためには、個々のタスクやプロジェクトの時間を見積もり、期限を意識して対処する必要があります。そして同時進行するタスクやプロジェクトの時間割り当てや重要性や緊急性を考慮し進捗を確認しなければなりません。手っ取り早いのは To-Doリストを定期的に更新することです。ただし時間のかかるものに対して、To-Doリストの更新だけではうまくいかない場合があります。特定のタスクまたはプロジェクトへのめり込み、ペース配分を把握できずに、結果として他のタスクまたはプロジェクトを犠牲にしてしまうことにもなりかねません。最悪のケースは途中で中断に追い込まれることです。このような事態を防ぎ、最後までやりきるためにも、きめ細かい定量的な進捗管理が求められます。

その解決方法のひとつとしてアーンドバリューマネジメントの手法があります。

アーンドバリューというと馴染みが無い方が多いと思いますが、計画に対する出来高の考えを取り入れた進捗管理手法です。ある学会での「研究発表大会」の準備という個人のプロジェクトを例に説明します。発表用の原稿(数ページ)と当日の発表のプレゼンテーションシートがアウトプットになります。

まず、原稿用の章立てとプレゼンのページ構成を決め、そこから初期のWBS(Work Breakdown Structure)を作成します。その後WBSについて自身で遂行を重ね、章立て毎にかかる時間を見積もります。次に日程に落とし込むために、一週間毎にそのWBS に予測時間を割り振ります。それで計画は完了です。その後、一週間毎に計画見合いの成果に対して、実際かかった時間は何時間か帳票に記入するだけです。予め計算式を埋め込んだ帳票を用意すれば、一週間単位で計画の値(PV、Planed Valueの略)、原稿の場合の章立て毎の出来高(EV、Earned Valueの略)またはプレゼンシート一枚毎の出来高(EV)、実際かかった工数この場合は時間(AC、Actual Costの略)を埋めることで、現状の進捗や予測値が自動的に表示されます。

個人プロジェクトにとって、いつ完了しそうかということは気になる点です。アーンドバリューマネジメントの手法を使うと、勘に頼らないで完了日を予測することが可能です。

このようにTo-Doリストの中で時間のかかるものに対して、アーンドバリューマネジメントの手法を取り入れると、ペース配分を考慮して実施することができます。その結果、同時進行するTo-Doリストの他の項目への悪影響を防ぐこともできます。前記研究発表準備の事例では、プロジェクト期間の途中で、計画見合いの出来高(EV)の遅れが自身、把握できましたので、早めに土日に時間の確保を行って、遅れを取り戻したことにより研究発表当日の二週間前までに完了できました。余裕を持って当日を迎えることができたことにより、他のTo-Doリストへの対応も確実に行うことが出来ました。アーンドバリューマネジメントを使わなかったら、研究発表の当日までにという期限だけが頭に残り、後ろから線引きしてしまい研究発表の当日の数日間は頭がいっぱいで、他の事はおろそかになってしまっていたに違いありません。またアーンドバリューマネジメントを使用しますと、途中で進捗を確認しながら進められますので目標の達成までの距離を掴むことができ、頑張ろうと意欲が沸きます。

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個人プロジェクトの成功の為に、全体像を掴み、事前に検討すること

よく、皆さん、プロジェクトの計画が大事ということを、先輩社員から聞いたことありませんか?

例えば、自身の場合、プロジェクトの終盤で、課題が露呈して、なんで、計画の段階で、検討しておかなかったのかと言われたことがあります。

ただ、計画の段階での検討が大事だということを、知識として、または大きな失敗の経験から、計画の段階で、検討が大事だということを認識することでしょう。

計画の段階で、検討することの前に全体像を把握することが、真っ先に取り組まなければならないでしょう。その為には WBS(Work Breakdown Structure)を作ることが、一見 面倒に見えますが、最も効果的です。

WBSはプロジェクトの全体を成果物まで細分化し、階層的に展開したものです。新製品開発など組織のプロジェクトではWBSを作るとき、チームメンバーや経営層といったスポンサー、その他ステークホルダー例えば部門責任者なども参加させ、プロジェクト作業を明確に定義します。新製品開発の場合、構想・計画段階で、全体像の検討不十分のため初期のWBSが更新されずに計画として使用されると、見積もり精度が悪くなります。あれもこれも検討不十分だったと後半に露見し、大きな影響が出ることにもあり得ます。開発費が3倍以上に膨れ上がることや、出荷日程が数か月遅れ製品としての価値が半減することなどです。

WBSは、組織プロジェクト向けと思われているかも知れませんが、個人のプロジェクトにおいても、効果を発揮します。また、組織の場合は、プロジェクト内外のメンバーとの共有化することもあり、ツールも限られていますが、個人にとっては、ツールの習熟に時間をかける必要はなく、身近なものです。

WBSの形は、階層構造が明確にわかる組織図のようなもののほかに、A3やA4、1枚程度の表の形などあります。

以下、自身の個人旅行の事例を述べます。

旅行ハンドブックを基にして訪問したいところをピックアップし、初期のWBSを作成します。その後、時間が経つにつれて、漏れが分かってきたり、あの場合どうするかという疑問が沸いてきます。旅行先に詳しい方のアドバイス聞いたり自分で繰り返し調べたりします。疑問点を解消しながら、WBSを更新していきます。天気が良くない場合の対応やら交通手段が無いといったリスクに対しての対応も頭の中であれこれシミュレーションすることができます。

WBSを更新するにつれて、スケジュールが明確になり、かかる費用の見積もりがより細かくできるようになります。WBSを作成することでプロジェクトの全体像が徐々に明確になってきます。自身の個人旅行のケースでは、限られた予算と夏休みの間という制約の中でパック旅行では味わえない異文化を肌で感じることが出来ました。是非、皆様もステークホルダーの協力を得て、WBSを作成しましょう。プロジェクトの成功は全体像を掴み、事前に対応を検討しておくことにかかってきます。

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お客様のトップと良い関係を作るには借りを作る?

プロジェクトリーダーのメンタリングを行う機会が時々あります。そこではPM(プロジェクトマネジメント)の知恵に加え、スポンサーとの良い関係をどう作るかについて、自分のLL(Lessons Learned)を持ち出して参加者に考えてもらうことが多くなりました。過去にお客様と接する第一線の仕事を長年やっていましたので、そこでいろんな知恵をいただき、自分なりに咀嚼してきましたが人に披露するような機会はあまりないものでした。

ところが複数の大学院でPMを教えるようになると、ステークホルダー・マネジメントの経験談をたくさん聞きたいというフィードバックが多いのに気付きました。そこでそういう知恵をネタにいれることがだんだん増えて来ました。もちろんやりすぎると、「年寄りの自慢話」として嫌われることは間違いないですから、ほどほどにはしています。そういう中から「顧客へのペネトレーション」、とくにお客様の上層部をどうやって味方につけるかという点のLessons Learnedです。

SE時代に色んなお客様のシステム構築プロジェクトをやっていました。相当昔ですし地方でしたから、SEは珍しいしお客様チームの中のリーダー的存在でした。しかし、一介の若僧の言うことが、お客様の中の関連部門長などに簡単に受け入れてもらえるわけではありません。もし聞いてもらえないとプロジェクトが失敗するというような場面も何度も起きます。そこで、お客様のキーマンやトップを味方につける必要がどうしてもあったものです。

そしてお客様トップとの定期的会合をどこでもお願いするようになりました。そんな機会で某社にお伺いしたある日のこと、K社長が「今日は相談があるのでお酒でも」とのこと。社長車でフグ料理屋につれていかれました。地元の名士ですから料理屋のご主人の対応はこの上なく丁寧です。トイレをお借りしご主人に「大ごちそうになりどうしたものか」と聞いたら、即座に耳打ちしてくれました。「お客さんは若いのだから偉い人には素直にごちそうになるもので、決して払ってはいけません。借りを返すような良いお仕事をしてください」。

そう言われて気付きました。当然ながら20代の若僧がお支払できるようなお店ではありません。借りを作ったのですが、K社長には「貸しは仕事で返してくれる相手だろう」という期待があるのです。期待に応えられるように頑張っていると、その後K社長に奢られる機会はどんどん増えました。それにしたがって、組織では自然な現象ですが、お客様の上層部の方々の多くが私の意見に従ってくれるようになったのです。

このことは他のお客様でも同じです。社長に限らずお客様の目上の方と接する場合には、そのような借りを作ることです。地方赴任から戻り大企業を担当した際でも同じことが起きました。この原理は、時代を経ても他の国であっても同じだと思います。割り勘などしてはいけません。若い人たちにこれを得意になって話したその夜のこと、私はすっかり奢らされてしまいました。

運動部で学んだこと

 自身が物事に取組む姿勢を学んだのは、大学で所属したスキークラブにあると思っています。当時すでに創立35年を超えていたそのクラブでは何事にも真剣に取り組む姿勢が文化として確立されていました。オフシーズンは陸上トレーニングを十分に行い、大会に向けて冬は1か月に及ぶ長期合宿を行います。合宿では上級生の指導のもと、朝から夕方まで毎日練習に励みます。上下関係がしっかりしており、食事の準備や洗濯は下級生が行います。下級生は先輩を起こし早朝から全員で体操をします。下級生は部員を喜ばせるため、様々なコスチュームでスキーをしたり毎晩芸を披露したり、合宿を盛り上げることも求められます。ここでは書けない類のイベントも色々とありました。今の時代にはそぐわない部分もあるかもしれませんが、メンバーの結束は今でも固く、物事に取り組む姿勢を学んだ一番の良い経験でした。

 仕事も遊びも真面目に取り組む姿勢は今も大切にしています。能動的な姿勢で物事にあたることは、自分自身にとって気持ちの良いものです。仕事もプライベートも予定の多い状態のほうが充実した気分を味わえます。受身の姿勢よりまずは積極的に何でもやってみる姿勢のほうが、お客様からも仲間からも良い印象を持たれることが多いです。意外なことですが忙しくて大変な時ほど、同時に複数の成果が上げることが多い気がします。これまでの自身の経験からも、自分から能動的に動くことでチャンスが回ってくるものと思っています。

 大学卒業後、スキークラブの仲間達とは毎年夏に1泊2日の旅行をしています。海で子供達と遊んだり、バーベキューや花火をしたりすることは、1年を通じて最も楽しみなイベントの1つになっています。この集まりは彼是10数年も続いており、これからも続いていくことでしょう。