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金魚から 仕事を楽しむ コツ学ぶ

かつて私は2匹の金魚を10数年間飼っていました。金魚が人になつくと思う人は少ないでしょうが、飼い主の私にとてもなつきました。息子たちが金魚すくいをした和金ですが、面倒をみなくなったので私が世話を始めたと思います。1匹は灰色の鮒尾のオス、もう1匹は白に赤がきれいなメスでエラの一部が欠けていました。
金魚は水温変化に弱いですし、水道水を使う時はカルキを抜かないといけません。水槽を清掃するのにも結構な時間がかかります。金魚の飼い方に詳しくはありませんが、仕事が忙しいため水交換を短時間で行う工夫を色々しました。結局、大きめの同じ水槽を2つ揃え、両方に常に水を張り同じ水温に保つことで、いつでも清潔な水槽に交換できる態勢にしました。予備水槽は使用水槽に近い場所に1週間程度置くので、水道水をハイポで中和したりする必要もなくなりました。
2匹は次第に飼い主に慣れ、水槽間を移す際に手ですくっても大人しく従うようになりました。少しでも水カビなどの異常を発見したら、声をかけつつガーゼに寝かせ、綿棒で清掃し薬をつけて治しました。そのうちに飼い主にだけ特別な反応をするようになりました。仕事で深夜に帰宅しても、金魚は気づいて起きて来ては尻尾を振り、体中で嬉しそうな身振りをするのです。深夜には餌など決してあげないのですが。遠くから手を振ればいつでも反応します。しかし他の人が色々やっても何も反応しないのです。
ある夜、遅くまでお酒を飲み合った同僚がわが家に泊り、金魚のその様子をみてびっくりしました。しばらくしてメスは卵を産みました。実はそれでオスとメスの区別がはっきりわかったのですが。たくさんの卵を、記憶が正しければ1日以上そのままにしたところ、多分オスが犯人ですが全部食べてしまい残念なことをしました。ともあれ飼主に特別になついたので、ますますかわいがり丁寧に世話をしました。

金魚が12歳あたりからだったでしょうか、オスは時々居眠りをしていました。餌をもって近づくとメスはまずオスをつついて起こしてくれるのでした。そして、仲の良い2匹は14年ぐらい生きました。
金魚を飼って気づかされたことが色々ありました。その一つが、相手の立場の「相手」とは人間だけではないということです(植物でも成り立つ)。そしてごく最近ですが、尾関宗園氏の「心配するな、なんとかなる」という本に、目から鱗が落ちました。「相手の立場」の相手とは、鉱物だろうと数学などの抽象的概念だろうと、相手であると考えるだけで作業が楽しくなるというのです。
勝手に解釈すれば、相手と考えることで、心をこめて丁寧な扱いができるとの説話です。それがその本の「はじめに」の2ページ目に出ます。考えてみれば、実はこれを読んだからもう忘れかけていた金魚のことを思い出したのでした。つまり何事も「相手」であると考えることによって、たとえ嫌な作業でも楽しんで行うことができるというわけです。よく考えると色々なことに当てはまるので、その通りだなと気づいた次第でした。
回りくどい話で失礼しました。

 

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金魚から 仕事を楽しむ コツ学ぶ」への2件のフィードバック

  1. 我が家にも8年前から2匹の金魚がいます。増上寺の縁日に孫娘が金魚すくいで貰ってきたものです。当時は3センチ位でしたが、今や15センチ位に大きくなっています。近づくと反応するのですが、空気と水という別世界で生きているので金魚の反応は餌を欲しい時だけだと思っていました。
    記事を読ませて頂いて、何事にも同じ時を生きる相手として対処していきたいと思います。

  2. 大先輩にコメントをいただき光栄です。「同じ時を生きる相手」や「同じ時に居る相手」は、さらに的を射ていると思いました。年齢にかかわらず大切な考え方と感じました。

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