月別アーカイブ: 3月 2015

「プロジェクト わが目標も 立てておけ」

仕事でプロジェクトを開始する時に、個人の目標をたてていますか?

先日、ある会社のプロジェクト・マネジャーと話す機会がありました。そのマネジャーはプロジェクトのキックオフ時にプロジェクトの概要を関係者全員の前で説明するだけでなく、プロジェクト・メンバ一人ひとりにプロジェクトにおける自分の目標を述べてもらっているそうです。

「このプロジェクトで自分はネットワーク工事について、関係先との調整能力を磨きたい」

「このプロジェクトを成功させるために、ネットワーク技術者の資格を取得できるように勉強します」

「入社して間もないので、○○通信システムの設計を早く覚えて、次から戦力になれるようにしたいです」

このように自分がこのプロジェクトを通して何を学ぶのかを宣言することで、プロジェクトに対して受身の姿勢から能動的になってきたと言っていました。始めた頃はなかなか目標をきちんと言えなかったようですが、簡単なことでもいいので一つ目標を設定するように繰り返しやっているうちに、目標達成の喜びも加わり中身のしっかりした目標に変わってきたようです。

プロジェクト本来の目的とは別に、プロジェクトにおける個人の目標も設定することで、仕事に対する姿勢が変わってきた例だと思います。

個人の目標の先にしっかりした目的を設定しておくことが重要です。何のために調整能力を磨きたいのか、何のために資格を取るのか、ということも考えておかないと、資格を取ることが目的になってしまいかねません。最初に目的と目標を掲げて、やる気が自然と湧き上がる形で個人プロジェクトをやっていきませんか。

(c)2015 Fumiaki Tanaka All rights reserved.

「ふりかえり 教訓出しは 熱いうち」

個人プロジェクトでもふりかえりをすることは大事です。ふりかえりを繰り返すことによって、知識、経験が確実に蓄積されます。ふりかえりをしないと失敗を繰り返しかねません。成功したとしてもなぜうまくいったのかという教訓を残せないため、次回の成功確率が下がります。かなり痛い目にあった経験は、ふりかえらずとも身体が覚えているかもしれませんが、そういった例はごくまれです。

ふりかえりで注意しないといけないことは、実施するタイミングが大事だということです。ふりかえりを行なう時期が遅くなればなるほど、過去の記憶が失われ、その時の生々しい感覚も失われてしまいます。そして、「大変だったけど、もう終わったことだし今さら思い出すのもなぁ」とか「随分前のことだから、もういいよ」と、なってしまいがちです。

わたしは毎朝起きてから寝るまでの行動記録を手帳に記載しています。そして、一日の最後に手帳を見て、その日のふりかえりをし、日記に一言書くようにしています。良かったことでも、良くなかったことでも、その日のふりかえりで気付いたことを記載します。「次はこうしよう」といったことを書くこともあります。今使っている日記は、10年間書くことができるようになっているので、昨年の同じ日に何を考えていたのかわかります。過去の教訓を改めて思い出すこともできます。もっともあまり変化も無くふりかえることが何もない日もあります。そういったときは、「(過去のふりかえりのお蔭で)問題なく一日が過ごせた」とだけ書くようにしています。個人のふりかえりですので、格好いいことを書こうと気張る必要はありません。自分にとって大事だと思ったこと、今後のために記録に残しておこうと思ったことだけ書けばいいのです。

「鉄は熱いうちに打て」。このことわざのようにタイムリーにふりかえり、明日からの自分の糧としませんか。

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「関係者 時(とき)が経てば 変化する」

パーソナルプロジェクトマネジメントを実践している友人にK氏がいます。先日K氏と食事をしたときにK氏は「個人プロジェクトでもステークホルダー・マネジメントは大事だね。つくづく今回は感じたよ」と以下のような話を語り始めました。

K氏は学生時代にクラス委員をしていました。卒業してから随分と時間も経つので、同級生のみんなはいい歳になったし、ずっとやっていなかった同窓会を先生が存命中にやろうと音信がとれている仲間に声をかけました。最初は少人数でこじんまりやろうと計画を進めていました。しかし、連絡が取れてだんだんと人数が増えて来るにしたがって、いろいろな人がいろいろな意見を出すようになり同窓会のプログラムがなかなかまとまらなくなってきました。さらにどうせやるなら他のクラスと合同でやろうという意見まで出て、当初の構想とは違って大がかりな学年全体の同窓会を開催することになりました。実はK氏は途中でリーダ役を降りたそうです。途中から規模が大きくなり打合せの頻度も増えて、K氏自身が地元に住んでいないこともあり、なかなか参加できなくなったからでした。途中から参加した、地元の有力者となっている別のクラスの同期に引き継いだということです。最終的に盛大な同窓会が開かれ、出席者はお互いの元気な姿で再会でき、なつかしい話をして大いに盛り上がり満足したようでした。しかし、K氏は自分の描いていたこじんまりではあるが、卒業時のクラス仲間と密なやりとりができる同窓会を考えていたので、物足りなさを感じたということです。

同窓会プロジェクトを開始して時間が経つにつれて、いろいろな関係者(ステークホルダー)が関与してきて、いろいろな意見が出てくる。それに対してどう対処していくか、ほとんど考えていなかったので、あれよあれよという間に話が変わっていってしまったとK氏はぼやいていました。

関係者(ステークホルダー)は時間とともに変化します。個人プロジェクトの当初は関係者でなかった人が途中から影響度の大きい関係者として登場してきたり、逆に当初は影響度の大きい関係者であった人が、時間とともに関係が薄れて影響度がほとんどなくなってしまったり、ということがあります。

ですから、個人プロジェクトと言っても、自分のプロジェクトに影響力のある関係者は誰かということを時々識別しておく必要があります。それを怠ったばかりに個人プロジェクトが進まなくなってしまうこともあります。また、関係者の期待自体が変化する場合があります。関係者の識別に加えて、その期待内容を確認しつつプロジェクトをすすめていきましょう。

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「より広く リスク押さえな あきまへん」

数年前のことですが、ある展示会に行くことにしていました。運悪く、台風が接近しつつありました。そこで会場までの経路を複数種類検索し、いくつかの到着地点ごとに、電車が止まったらその地点からどのルートで行くとよいかを細かく調べました。予想通り台風が関東近くを通過して、電車が軒並みダイヤ遅れ、運転見合わせとなりましたが、用意周到なリスク対応策の効果があって、朝10時の開場前に無事に展示会場に到着できました。しかし、なんと展示会は午前の開催は中止となっていたのです。会場の受付に確認してみると、展示会に出展している各企業、団体、学校の説明員が到着しないためということでした。個人プロジェクトとしては大失敗でした。台風接近というニュースを聞いてから、個人プロジェクトの目的が会場に到着することになってしまい、展示会を見学して今後の市場動向を調査するという本来の目的から離れてしまっていたのです。すなわち、本来考えるべき展示会が開催されないというリスクが漏れてしまったのです。日頃から、「リスクを考えるように」と言っている者としては情けない出来事でした。

個人プロジェクトにおいて、予めリスクを洗い出してその対応策を考えておくことは大事です。その際に重要なことは個人プロジェクトの本来の目的に照らしてリスクとその対応策を考えることです。まれに本来の目的からはずれたことに注力してしまうことがあります。個人でやっているだけになかなか自分では気づかないものです。そういうときのために、たまには一旦立ち止まって今やっているプロジェクトをふりかえってみましょう。新たな気づきがあるはずです。

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「予め リスク押さえて 慌てない」

個人プロジェクトにおいても予めリスクを洗い出して、影響度の大きいリスクに対して事前に対応すると同時に、発生時の対応も考えておくことをお薦めます。

たとえば、冠婚葬祭のように開始時刻が決まっている所用で出かける場合には、事前対応策として早めに出発することに加えて、いつものルートに電車事故が発生した場合に備えて代替ルートを複数考えておくと、慌てずに済みます。インターネット上にいろいろな行き先検索ソフトがあるので、事前にリスク発生時対応策が考えやすくなりました。人身事故があったり、車両点検があったり、台風や大雨で運転見合わせがあったり、リスク対応の必要性が増しています。

先日、あるところでたまたま1時間半ほど話す機会がありました。持参したパソコンと会場に備え付けのプロジェクタの相性が悪く、表示させることができませんでした。幸い、念のために発表用データをUSBメモリに保存していたので、会場に備え付けてあるパソコンにUSBメモリを挿して事無きを得ました。これは過去の失敗経験に基づくリスク対応策によるものです。事前に持参するパソコンを会場のプロジェクタと接続して表示確認を行えない場合や会場が遠方にあって事前の確認が無理な場合には、今回のような対応策を考えておくといざという時に冷静に対応できます。

違った事例として、かなり前のことですが、方針がよく変わる上司がいました。上司より上の人や周りの意見に影響されて方針や方向が変わるたびに、現場の皆さんは大変な目に遭いました。そのうち、変わることがあるという前提で、考えるようにしました。予め変わるかもしれないというリスクを考慮しておくことで、変更があっても慌てず気分を害することなく、その対応策をとればいいようになりました。当初はリスク対応策を考えること自体にムダと憤りを感じていましたが、他人は変えられないということを思い出して、常にリスクを考えて仕事をするようにしました。このやり方にしてから結果的には精神衛生上もとても良かったと今でも思っています。

リスク対応を考えることはムダではなく、心の余裕を生み出すものです。

 

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やる気アップ・ダウンの原因を探る

個人の目標達成に向けて、やる気を維持できるかということが大切な要素です。

自身にとってやる気アップおよびその逆のやる気ダウンすることを、それぞれ五つ挙げ、どうしたらやる気の喪失を防ぐことができるか検討しました。

さっそく、やる気アップに繋がるものから、リストアップします。

一つ目は、目的が明確で目標を目指しているときです。会社員の場合は、やる気をアップさせるには、会社の目標と個人の目標を限りなく一致させるような努力が必要です。

二つ目は、人から認められることです。お客様の満足が得られ関係者から評価いただくことです。仕事に関わらずお客様の反応を知ることは大切な要素です。お客様からの感謝のお言葉かけていただくときは、この上ない喜びを感じます。

三つ目は仕事などに面白みを感じ自主的に改善・提案ができ、自身の成長に繋がると認識できたときです。自ら提案し行動し成果が得られたとき達成感が味わえます。どんな仕事でも主体的に行動するような取り組みが必要です。

四つ目は、同僚 上司 家族等、人間関係に心配ごとがないことです。同僚や上司、また家族、特に配偶者とは、毎日少しでも会話できるように、何でも話せるような雰囲気づくりが必要です。

五つ目、給料、勤務地など生活が安定することです。報酬が多いに越したことはありませんが、やりたいことの時間確保と報酬のバランスが重要です。

次にやる気ダウンに繋がることから、リストアップします。
一つ目、何のために行うのか目的がはっきりせずに目標が適切でなかったことです。目的を明確にし、道順を考えそのステップとして実現可能な目標設定してゆくことが大切です。

二つ目、一生懸命がんばったのに関係者の理解が得られず、努力、成果が正当に評価されないことです。常日頃、上司・同僚や家族とのちょっとした会話を心がけ、価値観についても理解しておくことが必要です。

三つ目、体調不良になったときです。病気になりにくい体を作るために生活習慣を見直すなど健康面で常日頃から気を付けることです。

四つ目、やるべきことが多くストレスを感じる時です。何でもかんでもTo-Doリストに埋め込んでしまうことです。 To-Doリストの中で日々アクションするものについて、10件程度に抑え、詰めすぎないようにする意識が必要です。

五つ目は意外かもしれませんが、期限がないことです。期限がないということは、締め切りがないため、いつでもできると思って安心してしまい結局できていなかったになります。必ず期限を設定する必要があります。

以上のようにやる気アップする要因とその逆にやる気ダウンする原因から、考察しますと自身にとって、やる気が喪失する原因が、より明らかになり、対策を立てやすくなります。

© 2015Mitsuhiko Tokunaga, All rights reserved.

パーソナルPMのフレームワーク

パーソナルPMのフレームワークを下に掲載してみます(あれ、画像がちょっとボケますかね。画像をクリックしていただくと鮮明なのが出ます)。

私は、その昔自分のTo-doリスト項目が完了した時に、気づいたことを項目の右にちょこっとメモするのが習慣になりました。自分用なので一言だけなのですが。数年やっていると、同じ気づきが何度も出るのがわかりました。同じことを何度も書かないようカテゴリー化しまして、自分専用のチェックリストの目次にしたつもりでした。つまりこの表の「活動」の右側には、私の場合いろんなLLが自分専用のひとことで色々溜まっています。それを他の人が分るように今後書きたいと思っています。

そういうわけで、パーソナルPMのフレームワークはこう分けなければならないというわけではなく、自分用に10年続けた結果がこうなったというものですから、人によって異なることがあって当然かもしれません。たまたまそれを5年前にフレームワーク例として、現在のパーソナルPMコミュニティの皆さんに提案した結果、次のような表に落ち着いてきたものです。今回皆さんがたくさん投稿される内容によっては、必要があればこのフレームワークも更新したいと考えています。

この表にある「知識」の内容は、組織用のPMと重なるものがありますが、個人のPM独特の内容もあります。これをどういう風に見て使うとよいかについては、今後どこかでまた書くとして、色々ご想像いただくとよいと思います。色んな知恵を溜めたり参照したりするには、何か目次があると便利ですね。BOKと呼ばれるものも同じような理屈があるわけすが。まずはとにかく掲載まで。

パーソナルPMのフレームワーク

個人プロジェクトでの達成経験を積み重ねる

「今年の夏こそ、家族とともに米国の友人家族を訪ねて、子どもに海外体験をさせてあげたい」と、この十年、思ってきました。しかし、例年の如く、金銭、時間の都合によりそれを達成できなかった夏の終わりの日、以前から「無駄なお金と時間を使っているのではないか」と気になっていた、自身の喫煙習慣に思い至りました。そして、「いったい、私はタバコにいくら、そしてどれだけの時間を使っているのだろう」との考えから、年間の費用と時間を試算してみることにしました。

『410円×1.5箱/日×365日/年=224,475円/年』

『3分/本×30本/日×365日/年=32,850分/年=22.8日/年』

おそらくは無意識に目をそむけていたであろう、この簡単な計算結果を見て、私は衝撃を受けました。「喫煙の習慣さえ変えることができていたら、少なくとも2~3年に一回は家族で米国に行くことができた」ことに、そして「自ら決意して実行すれば達成できることすら、自分はしていなかった」ということに・・・

『心は行動となり、行動は習癖を生む。習癖は品性を作り、品性は運命を決する』という言葉があります。そのサイクルを変えるスタート地点は、もしかしたら“心”ではなく“習癖”なのかもしれません。そう考えると、「習癖を変えることで、行動を変え、心を変えることができるのではないか」、ひいては「その変わった心で毎日の仕事や生活に取り組むことで、運命を変えられるのではないか」という思いも昂じてきました。そこで、喫煙の習慣を早朝のランニングと筋トレの習慣に入れ替え、禁煙を達成する、個人プロジェクトを始めることにしました。目標は、来年の夏こそ家族で米国に行くことです。

それから2ヶ月、このプロジェクトには、目標の達成に近づくことに留まらず、達成に至る過程に多くの副産物があることに気づきました。家族と一緒に過ごせる時間が増えたことや、木々や鳥、青空に洗われた心で職場に向かえることはその一部です。加えて、「自分は自分自身をコントロールできる」「自分は諦めずに努力できる」という意識を、些細なことでも毎日やり遂げていく中で、少しずつ取り戻せるようになってきたことが最大の副産物ではないか、と感じています。

エジソンは『私達の最大の弱点は諦めることにある。成功するのに最も確実な方法は、常にもう一回だけ試してみることだ』という言葉を残しています。多くの先達が伝えるように「諦めない内は失敗ではない」のです。そして、続ける姿勢、それを支える自信を得るには、物事を達成した経験を積み重ねることが有効だと思います。

その反面、現代社会は、“諦める理由”がたくさんある、“達成感を感じづらい環境”になってしまっているように思います。居ながらにして膨大な情報を入手できるネットは、何もしない内から前途の難関や結果を否応無く思い起こさせます。職場では、“うまくいって当たり前”という状況の下、複数のプロジェクトに組み込まれ、達成した喜びを得る間もなく次のプロジェクトに忙殺されざるを得ない方も少なくないと思われます。もしその流れに身を委ねるだけになってしまったら、「結局、自分自身さえコントロールできない」という考えに陥ってしまうかもしれません。

その対処の一つとして、関心をお持ちの身近な分野について個人プロジェクトを始めてみたらいかがでしょうか?個人プロジェクトはステークホルダーが少なく、努力が成果に直結しやすいと言えます。自分で自分をコントロールしながら、諦めずに目標達成に向かっている感覚を得られます。たとえ小さくても、プロジェクトの過程と完遂を通じて得られた達成感、自信、やり続ける習慣は、自らの心を変え、ひいては運命を変えるきっかけになると思っています。

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PM実践力向上は、身の回りの身近なテーマから

個人の場合、身の回りに身近なプロジェクトが存在します。しかも対象領域が広くプロジェクトマネジメント(以降PMと呼ぶ)実践力向上の訓練としてはうってつけです。

組織のPM例えば新製品開発の場合は、期間が一年から数年に及びますが、個人の場合、期間は数日から数週間、長いもので半年程度です。よって個人PMの場合、短期間に成果や反省点が浮き彫りになり次回へフィードバックが迅速にできます。PMの視点で考察しますと新製品開発が顧客や会社の経営陣、個々の職能の責任者、プロジェクトメンバー間とのコミュニケーションにかかるウェイトが高いのに対して個人の場合、自身の動機付けをどのように高められるかという点が大切だという点が異なります。

新製品開発プロジェクトを成功するためには、PMの研修を受けて、組織のPMに活用することもありますが、研修の内容をそのまますぐに現場で役立たせるには、難しい点があります。大抵、リスクの影響が大きく失敗が許されないケースが多くあるからです。また同様のプロジェクトを経験するという方法があります。しかし新製品開発のプロジェクトは期間が長く、また業界特有の知識の習得にも時間がかかり、一連のPMの実践経験という点では必ずしも十分ではありません。そこで個人PMによって自身のマネジメント力の強化を実践し、上記のような違いを認識し組織PMに必要なプラスアルファ部分を補うというやり方があります。身の回りのテーマで個人PMとして意識し、To-Doリストの活用、中長期の目標や直近の目標設定、WBSの展開、スケジュール、コスト、リスクマネジメント、Lessons Learnedの記録といった点などPMとして必要な要素の体得を繰り返すことです。

新製品開発において、プロジェクトはプロジェクトマネージャーのもと企画部門、営業部門、技術部門、調達部門、工場等各職能部門の代表から構成される横断チームで構成されます。更に各職能部門においても、数人また数十人からなるメンバーがプロジェクトに関わっています。このように新製品開発プロジェクトを分解すると究極は個人です。身近なテーマで個人PMによるWBSの検討またはTo-Doレベルのタスクの洗い出しによる訓練が、新製品開発に役立ちます。新製品開発では、職能部門内外のまとまりとして統合WBSとして管理します。個人のPMに加えて、統合のマネジメントやコミュニケーションを意識し業界固有の関連知識を追加すればよいのです。

プロジェクトのサイズに関わらず、PMの基本は変わりません。 PM実践力向上は、身の回りの身近なテーマにおいて個人PMとして経験を積み上げる方法が最も効果的です。

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GTDのフェーズに従ってTo-Doリストの活用を点検

個人のプロジェクトマネジメントにおける段取りとしてTo-Doリストの活用があります。To-Doリストは、文字通りやらなければいけないことの一覧であり個人にとって身近なPM手段です。他人に対する「約束を守る」ことはもちろん、自分自身に対する「約束を守る」ことにも役立ちます。

To-Doリストの活用に密接に関連するものとして、GTDの手法があります。

GTDとはGetting Things Doneのそれぞれ単語の頭文字をとったものです。David Allen発案による仕事を成し遂げる為のタスクマネジメントの手法であり、世界的にベストセラーとなっています。基本は「なすべき仕事のリスト」を何かに記録しておくことで、頭の中から「なすべき仕事のこと」を追い出すこと。その結果、頭の中はすべき仕事全部を覚えなくてもよくなり、すっきりとリストに基づき実際の仕事をこなすことに集中することができるのです。

GTDは五つのフェーズから成り立っています。まず収集、頭の中にある「やらなければならないこと」「気になっていること」を書き出す。二番目に処理、次に取るべき行動を決める。三番目、整理、プロジェクトとして取組み、カレンダーへ盛込み、空き時間に対応、連絡待ちといったカテゴリーに分ける四番目見直し、「次にとるべき行動」リストを毎日見直す。五番目実行、リストアップした「出来ること」の優先順位を考慮し行動に移します。

GTDにおいて43Foldersという考えがあります。一か月31日と一年12ヶ月の数字を足した数字のフォルダーを用意し、管理する考え方である。いつやるかということが明確になり、整理することが習慣になると大きな効果が発揮できます。

GTDのフェーズに沿って、自身のTo-Doリストの活用について振り返ります。最初に直近の仕事や生活に関するTo-Do項目の案出しを行います。中長期としてやりたいことを頭に浮かべることも必要です。次にTo-Doリストへ盛り込み、日々更新します。一か月以上先の予定はカレンダーへ盛り込みます。To-Doリストへ無い項目で実施したものは、後付けでTo-Doリストへ盛り込みます。一週間単位で振り返りますと、いろんなことができたという達成感を味わうことができます。三番目のステップとしてTo-Do項目個々の重要度、緊急性(期限)、時間見積もり、一週間以内で対応できるものかそれ以上かかるものか見極めます。時間のかかるものはプロジェクトとして意識し、別シートでWBS(Work Breakdown Structure)を作成して取り組みます。一週間以内の直近To-Doリストおよび数ヶ月先のものまで見通します。隙間時間ができたときに先にやるべきことが頭にあれば、少しでも前倒しで対応することができます。四番目のステップとして朝一、仕事に取り掛かる前の数分間を活用し自身で見直しを行い、完了したリスト項目を色塗りで消してゆきます。消すことによって、完了できたという充実感を味わうことができます。そして次のアクションが必要なものがあれば追加していきます。最後にTo-Doリストの期限、見積もった時間を意識して実行します。時間が余れば、To-Doリストの期限が先のタスクやカレンダー上に記載あるタスクも前倒しで着手し、時間の貯金作りができます。

To-Doリストを活用することで、直近一週間のやるべきことが明確になり、仕事や私生活で他の人との約束を守ることはもちろん、自身でやるべきことに対して漏れや忘れることがほとんど無くなりました。

ただ、自身の反省点として、カレンダーに記載したものが、To-Doリストへの記載が漏れたことがあり、大事な会議や自身の成長に繋がるセミナー等欠席といった失態を発生したことがあります。カレンダー上に記載したものも、必ず直近になると、To-Doリストへ記載を忘れずにすることの大切さを痛感しました。To-Doリストの活用がうまくやれるようになると「忙しい」という言葉を発する機会が少なくなります。

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