パーソナルプロジェクトマネジメントを実践している友人にK氏がいます。先日K氏と食事をしたときにK氏は「個人プロジェクトでもステークホルダー・マネジメントは大事だね。つくづく今回は感じたよ」と以下のような話を語り始めました。
K氏は学生時代にクラス委員をしていました。卒業してから随分と時間も経つので、同級生のみんなはいい歳になったし、ずっとやっていなかった同窓会を先生が存命中にやろうと音信がとれている仲間に声をかけました。最初は少人数でこじんまりやろうと計画を進めていました。しかし、連絡が取れてだんだんと人数が増えて来るにしたがって、いろいろな人がいろいろな意見を出すようになり同窓会のプログラムがなかなかまとまらなくなってきました。さらにどうせやるなら他のクラスと合同でやろうという意見まで出て、当初の構想とは違って大がかりな学年全体の同窓会を開催することになりました。実はK氏は途中でリーダ役を降りたそうです。途中から規模が大きくなり打合せの頻度も増えて、K氏自身が地元に住んでいないこともあり、なかなか参加できなくなったからでした。途中から参加した、地元の有力者となっている別のクラスの同期に引き継いだということです。最終的に盛大な同窓会が開かれ、出席者はお互いの元気な姿で再会でき、なつかしい話をして大いに盛り上がり満足したようでした。しかし、K氏は自分の描いていたこじんまりではあるが、卒業時のクラス仲間と密なやりとりができる同窓会を考えていたので、物足りなさを感じたということです。
同窓会プロジェクトを開始して時間が経つにつれて、いろいろな関係者(ステークホルダー)が関与してきて、いろいろな意見が出てくる。それに対してどう対処していくか、ほとんど考えていなかったので、あれよあれよという間に話が変わっていってしまったとK氏はぼやいていました。
関係者(ステークホルダー)は時間とともに変化します。個人プロジェクトの当初は関係者でなかった人が途中から影響度の大きい関係者として登場してきたり、逆に当初は影響度の大きい関係者であった人が、時間とともに関係が薄れて影響度がほとんどなくなってしまったり、ということがあります。
ですから、個人プロジェクトと言っても、自分のプロジェクトに影響力のある関係者は誰かということを時々識別しておく必要があります。それを怠ったばかりに個人プロジェクトが進まなくなってしまうこともあります。また、関係者の期待自体が変化する場合があります。関係者の識別に加えて、その期待内容を確認しつつプロジェクトをすすめていきましょう。
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