カテゴリー別アーカイブ: 2 行動の段取り

練習は 落ち着く心 生み出さん

仮登録(2023年9月発表資料から)

今の結婚式、披露宴には仲人を立てないことが多くなったが、昔は職場の上司にやってもらうことが多かった。わたしが30代半ばで課長になってしまって、3回も仲人をやる羽目になった。周りは自分より年配のご親族や相手側の職場の関係者。緊張しないわけがない。初めての時は見事に新郎新婦の紹介を失敗した(と自分では思った)。緊張しすぎて。2回目からは原稿も胸ポケットに入れつつ、事前に練習を重ねて、思い出せない時は原稿を見るようにした。練習は期待を裏切らず、冷静に話すことができた(と自分では思っている)。やはり本番の前に練習(リハーサル)はいろいろな場合、研修講師、講演、司会、等々に大事であると、骨身にしみた経験である。

何をする 書き出しつなげ 日々新た

毎朝、その日の仕事の計画を立てます。前日の帰りに一応「明日はこれこれをやろう」と考えていますが、一晩経つと考えが変わったり、仕事を始める前に急な依頼や打合せが入ったりすることもあり見直します。
今後の予定も考慮しながら今日の作業予定を更新します。
今後計画されている作業との関連性や優先度、他の人との調整や依頼が必要な作業かどうか、作業環境の効率性(現場でやるか、事務所でやるか)、等々を工数と期限と合わせて考えて見直します。
当初の計画通りにはなかなか進まないことが現実には多く、品質と期限を間に合わせるように日々更新しながら進めています。
若い頃は当初の計画に固執して、体力勝負でやっていた時期もありますが、関係者との調整事項や急な割込みのように自分ではコントロールできない要因があると体力勝負にも限界があります。
計画も許容できる範囲では柔軟に更新しながら目標達成をすることを徐々に学びました。
その一歩として作業計画を更新し続けることを朝のコーヒーを飲みながらの習慣にしています。

©2023 Fumiaki Tanaka All rights reserved.

マルチステージの時代に

寿命の伸びは世界各国で顕著です。この60年ほどを見れば次のグラフのようになっています。日本では1947年から詳しい統計がとられていますし、欧州各国では19世紀半ば、または1920年代から作成されてきたのに驚きます。公開されている“Human mortality database”に蓄積された38か国のデータの中で、上昇傾向以外の複雑な動きはロシアだけで他に例外はみあたりません。(図が見づらい時はクリックしてご覧ください。)

例えば2007年に生まれた人の平均寿命は軽く100歳を超えるとの予測がされています(注1)。ところが先進国の人口ピラミッドは次のような形で、高齢者をささえる若年層が不足しています。改善の努力が先進国で行なわれてきましたが、ご承知のとおり日本は先細りが直っていません。ここに示しませんが、例えばインドやマレーシアでは各国の寺院の屋根のような形、アフリカ諸国では下辺の広いピラミッドです。(図が見づらい時はクリックしてご覧ください。)

若年層が少ないと平均寿命に影響するのかちょっと気になりますし、イスラエルの人口構成がきちんとしているのにも驚きます。少し脱線しますが、疑問を解くため年齢別の死亡率を調べたところ、高齢層と若年層では桁違いの差があり平均寿命に殆ど影響しないことが分りましたので更新しておきます。下の図は日本とイスラエルの比較です。

要するに平均寿命は純粋に伸びています(米英等で最近になって横ばい気味なのが気にはなりますがきっと原因があるでしょう)。仕事時代より退職後が長くなっているでしょうし、それを支える長い「年金生活」という発想は成り立ちにくくなるでしょう。

人生が1)学び、2)勤め、3)隠居の3ステージから成るという過去の観念は捨てる必要があるでしょう。ステージが混じり繰返すような「マルチステージ」(注1)の人生が増えるというわけです。日本では15歳未満と65歳以上が被扶養層と定義されていますが、70歳、さらに80歳まで仕事をするのが常識となるかもしれませんし、年齢だけでの差別はなくしていくべきと思えます。

最近のパーソナルPMコミュニティの会合で、メンバーの徳永光彦さんがマルチステージを取り上げられたのに触発され、筆者を含め多くのメンバーが現代の人生におけるその重要性に改めてフォーカスしています。一人では気づきにくいことも皆と検討すると気づくことの典型でしょう。

若手メンバーの柳沢大高さんは、スキル修得に関する執拗な研究成果の一端を、一般向け書籍として書かれています。8月23日に発行されることになりました。マルチステージへ向けた「学び」へ正面から向き合うための格好の書となることを期待しています。

改めて身近な人たちを見回せば、マルチステージを実践している人は既にたくさん居るのに気づきます。皆様の周囲にもおられるでしょうし、考えてみれば筆者もその仲間です。それが続けられるためには健康が第一ですし、自分で考えるミッション(目的の構造化)、柔軟な思考や新しいことを受容れる姿勢などがますます大事になると思います。

パーソナルPMコミュニティでは2018年10月14日(日)の午後、「パーソナルPMシンポジウム2018」(参加無料)を都内で主催することとなりました(満席となりお申し込みを締め切らせて頂きました)。

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その中で徳永さんのマルチステージ実践に基づく発表も予定されています。投稿が長くなり過ぎるため、「パーソナルPMシンポジウム2018」については後ほど別投稿としてご案内したいと思います。パーソナルPMに少しでもご興味をお持ちになられたら、どなたでも気楽にご参加いただけるようお待ちしています(すでに満席となりお申し込みを締め切らせて頂きました)。

(注1)Lynda Gratton & Andrew Scott, The 100 year Life,2016. 池村千秋訳、ライフシフト、東洋経済新報社、2016.

©2018 Akira Tominaga. All rights reserved.

 

「もう少し 密に計画 しておけば」

この夏、青森に遊びに行きました。行きと帰りの新幹線の切符予約と宿泊先のホテルの予約はしましたが、あとはその場で臨機応変に動こうというざっくりした計画でいくことにしました。元々仕事が忙しくて事前に調査をする時間もなかったので、過去の経験から何とかなるだろうと考えていましたが、これが大失敗でした。臨機応変とは便利な言葉ですが、応変するにもある程度の下準備なり、段取りなり、リスクマネジメントは必要です。地方の場合、車で移動しない時は交通機関の時間割を事前に調べておくという基本原則を忘れていました。しばらく自家用車以外での旅行をしていなかったのも感覚が薄れてしまった原因です。旅行初日は八甲田山の宿泊施設に泊まることにしていました。新幹線の新青森駅から青森駅まで在来線に乗って着いたのが、昼過ぎ。そこで八甲田山へ向かうバスの時間を確認したところ、最終が13:35出発。なんでそんなに早いの?このバス、実は十和田湖まで向かうので、十和田湖終点に到着する時間(16:43)を考えると13:35を青森駅出発となるようである。八甲田山まで90分くらいと見ていたので、15:30頃のバスがあればと考えていたが、大誤算。午後の青森駅周辺の観光をあきらめて、昼食とって八甲田山へ向かうことに。翌日は、八甲田山から三内丸山遺跡経由で青森まで戻ることにしたが、これまた八甲田山から青森駅に向かうバスの最初がなんと10:18出発。これも十和田湖を朝8:30に出発したバスが八甲田ロープウェー駅前を通過するのがその時間となっていたためであった。三内丸山遺跡到着が11:04で、それから遺跡見学して青森駅に戻ったのが、結局14:00過ぎであった。ホテルに一旦チェックインして、もう一つの見学目的である八甲田山雪中行軍記念館までのバスの時刻表をチェックしたところ、見学時間を1時間半と考えるとあまり時間もないので、翌日朝一番で行って、午後の新幹線で帰ることにした。そこで、午後の残りは弘前城と弘前ねぷた祭りを見学することに変更した。

結果的には、そこそこの見学や観光はできたものの、段取りと準備不足からかなりの時間ロスと効率的な観光が必ずしもできなかった。もう少し事前調査と準備をしておけば、さらに観光できたかもしれず、少し残念な旅であった。

それから2週間後のお盆休みに今度は和歌山県の高野山へ遊びに行きました。目的は、奥の院、檀上伽藍、金剛峯寺を見学し、精進料理を食べることもありますが、阿字観を体験したいということでした。こちらも事前の調査不足で、阿字観は毎日やっているものと勝手に思っていましたが、実は実施日が決まっていて、「基本は金曜から月曜の週4日。金剛峯寺の行事によって変更あり」でした。その確認をしていなかったため、火曜日に金剛峯寺に行きましたが、やっていませんでした。その代わりに授戒を体験してきました。ありがたいお話を聞く事ができましたが、阿字観体験ができなかったことは、残念で次回は日程、時間を確認して行くつもりです。

やはり、個人旅行とはいえ、当初の旅行の目的、目標を達成するには、やはり段取り、事前準備は大事であることを改めて痛感しました。勝手な思い込みはよくありません。日常とは違った世界は、普段の生活の延長線ではありませんので、事前の準備と最低限の計画性は必要だと感じたこの夏でした。「言うは易く行うは難し」ですね。

 

©2014-2015 Fumiaki Tanaka

「スケジュール 可視化で気づく 期限まで」

To-doリストで懸案事項、課題などを管理しているのに、ふと気づいたら補助金の申請期限を過ぎていて、これが受注条件になっていたので失注してしまったといったような経験はありませんか? あるいは、期限前に書類作成に着手はしたのだが、着手時点で作業量が多いことに気づいて、結局2日連続で徹夜して仕上げることになり、チームメンバから大ひんしゅくをかったといったような経験はありませんか?

研修でTo-doリストを作ってやることで漏れなく課題管理が出来ると教えられたのに、これでは意味がなく、従来と変わらないではないかと思ってしまったかもしれません。

To-doリストはよくできたツールですが、よくある書式では、日限まであと何日残っているのかとか、どれくらいの作業量(何日程度の作業量)があるかを一目でわかるのは難しいところがあります。一覧に日限や見込み作業時間数が書かれていても、作業項目が増えてくるにしたがって、各作業項目をどういった順番で実施していけば、個々の日限までに終えられるかといった全体を把握するのがTo-doリストだけでは難しいところがあります。

そこで作業項目が増えてきたら(たとえば、10件を超えてきたら)、ガントチャートに代表されるスケジュール表を作成することをお勧めします。これにより、自分の抱えている作業全体が見えるようになり、個々の作業項目の日限が時間軸で分かるようになります。また、作業量もバーの長さから類推でき、着手遅れを防ぐことが可能となります。To-doリストはやっているが、スケジュール表までは作成はしていないという方で、冒頭のような失敗事例をお持ちの方は検討して頂ければと思います。

ただ、個人差もありますが、あまりに見えるようになったために、各作業が軒並み遅れているのが見えてしまい、逆に心の負担となり気分が落ち込んでしまった方も過去におられるので、利用の際は自分の性格も踏まえて実施されることをお勧めします。心労となっては元も子もありませんので。

(c)2015 Fumiaki Tanaka All rights reserved.

 

くそ忙しいのにどうして旅行なんかできるの?

私は短くとも半年以上先までの日程表を携帯します。というと、「手帳をもてば当たり前では?」という方もおられます。しかし年末で区切ることもなく、わかっている限り先の方までの予定を書いて持っているという意味です。それがなぜ役立つのかをここで説明したいと思います。

その昔、世の中にSEがあまりいなかった頃ですが、東北へ赴任しだんだん忙しくなりました。大小16件ほどのお客様を常時担当する羽目になりました。良く言えば引っ張りだこ、悪く言えば過重労働、人からワーカホリックと言われたりしました。仕事ですから仕方がないのですが、土日も潰れることが多くなりました。そういう状態ではどうすれば自分の時間が作れるかが一番の課題であることは、どなたにもご経験がおありでしょう。

担当地域が広いので主に夜行列車で動く毎日でした。がらがらの車内で仕事をするほかに、時間を作る方法も色々と考案していました。今ならGTD(Getting things done)や段取りのハウツー本もあるし、Webでも有益な情報に事欠きません。しかし当時気づいた参考書は、二宮尊徳、フランクリン、新井白石等々の伝記程度でした(私の場合だけかもしれませんが)。とにかく自分で色々工夫を加えなければいけません。

私がたどり着いた一番良い解答は、簡単に言うと誤解を招きそうではありますが、お客様の優秀な人達をどう「使い」まくり、達成感をもってもらうかでした。そのことは別途書くとして、ほかに上位に位置づけられた解答が、「先の方までの日程を書いて持つ」ことです。それを始めてから、その後ずっとですが、今でもその習慣がたいへん役に立っています。

当時他人から見た仕事バカは、当然ながらますます忙しくなり、その後マネジメントの仕事が増えました。しかし一番忙しい時も家族旅行を欠かした年はありません。どうしたのかといえば、日程表に仕事と同様に早くから旅行の予定を入れて死守するわけです。上司や周囲にもそこはダメと早くから言うわけです。なんだ、そんな単純な解答かと思われるでしょう。しかしこれには色々な余禄があるのです。

第一に、先の方の仕事を明確にしておくことで、自分がさらにこなせる仕事量が分りやすく、できない約束をせずに済むこと。第二に、先の方の仕事が明確ならそれにちょっとでも手を付けておけること。とくに意識しなくとも、早くから内容をどうするか少しずつ考えていることです。また、わずかでも着手をしておくことは、後でその仕事に取り組む際の動機づけになります。何でも手を動かすことで初めて興味が湧くものですから。第三には、行動全体が計画的になり、無駄が少なくなる事です。ちょうどプロジェクトがプログラムを構成する一部分であったり、目標が目的のマイルストーンであったりするのとよく似ています。

つまり、できるだけ先の予定まで書いて持つことは、仕事をうまくこなすための良い助けとなるだけでなく、自分の時間を作るための武器にもなるというわけです。

©2015 Akira Tominaga. All rights reserved.

GTDのフェーズに従ってTo-Doリストの活用を点検

個人のプロジェクトマネジメントにおける段取りとしてTo-Doリストの活用があります。To-Doリストは、文字通りやらなければいけないことの一覧であり個人にとって身近なPM手段です。他人に対する「約束を守る」ことはもちろん、自分自身に対する「約束を守る」ことにも役立ちます。

To-Doリストの活用に密接に関連するものとして、GTDの手法があります。

GTDとはGetting Things Doneのそれぞれ単語の頭文字をとったものです。David Allen発案による仕事を成し遂げる為のタスクマネジメントの手法であり、世界的にベストセラーとなっています。基本は「なすべき仕事のリスト」を何かに記録しておくことで、頭の中から「なすべき仕事のこと」を追い出すこと。その結果、頭の中はすべき仕事全部を覚えなくてもよくなり、すっきりとリストに基づき実際の仕事をこなすことに集中することができるのです。

GTDは五つのフェーズから成り立っています。まず収集、頭の中にある「やらなければならないこと」「気になっていること」を書き出す。二番目に処理、次に取るべき行動を決める。三番目、整理、プロジェクトとして取組み、カレンダーへ盛込み、空き時間に対応、連絡待ちといったカテゴリーに分ける四番目見直し、「次にとるべき行動」リストを毎日見直す。五番目実行、リストアップした「出来ること」の優先順位を考慮し行動に移します。

GTDにおいて43Foldersという考えがあります。一か月31日と一年12ヶ月の数字を足した数字のフォルダーを用意し、管理する考え方である。いつやるかということが明確になり、整理することが習慣になると大きな効果が発揮できます。

GTDのフェーズに沿って、自身のTo-Doリストの活用について振り返ります。最初に直近の仕事や生活に関するTo-Do項目の案出しを行います。中長期としてやりたいことを頭に浮かべることも必要です。次にTo-Doリストへ盛り込み、日々更新します。一か月以上先の予定はカレンダーへ盛り込みます。To-Doリストへ無い項目で実施したものは、後付けでTo-Doリストへ盛り込みます。一週間単位で振り返りますと、いろんなことができたという達成感を味わうことができます。三番目のステップとしてTo-Do項目個々の重要度、緊急性(期限)、時間見積もり、一週間以内で対応できるものかそれ以上かかるものか見極めます。時間のかかるものはプロジェクトとして意識し、別シートでWBS(Work Breakdown Structure)を作成して取り組みます。一週間以内の直近To-Doリストおよび数ヶ月先のものまで見通します。隙間時間ができたときに先にやるべきことが頭にあれば、少しでも前倒しで対応することができます。四番目のステップとして朝一、仕事に取り掛かる前の数分間を活用し自身で見直しを行い、完了したリスト項目を色塗りで消してゆきます。消すことによって、完了できたという充実感を味わうことができます。そして次のアクションが必要なものがあれば追加していきます。最後にTo-Doリストの期限、見積もった時間を意識して実行します。時間が余れば、To-Doリストの期限が先のタスクやカレンダー上に記載あるタスクも前倒しで着手し、時間の貯金作りができます。

To-Doリストを活用することで、直近一週間のやるべきことが明確になり、仕事や私生活で他の人との約束を守ることはもちろん、自身でやるべきことに対して漏れや忘れることがほとんど無くなりました。

ただ、自身の反省点として、カレンダーに記載したものが、To-Doリストへの記載が漏れたことがあり、大事な会議や自身の成長に繋がるセミナー等欠席といった失態を発生したことがあります。カレンダー上に記載したものも、必ず直近になると、To-Doリストへ記載を忘れずにすることの大切さを痛感しました。To-Doリストの活用がうまくやれるようになると「忙しい」という言葉を発する機会が少なくなります。

© 2015Mitsuhiko Tokunaga, All rights reserved.

ペース配分にアーンドバリューマネジメントを使う

個人にとって最も大切なリソースは何でしょうか? それはまぎれもなく時間です。人生は有限ですから。個人にとっては同時進行するタスクやタスクより込み入ったプロジェクトが常時、小さいものから大きいものまで存在します。数分で対処できるものから百時間以上かかるようなものまでまちまちです。 複数の目標を同時に達成するためには、個々のタスクやプロジェクトの時間を見積もり、期限を意識して対処する必要があります。そして同時進行するタスクやプロジェクトの時間割り当てや重要性や緊急性を考慮し進捗を確認しなければなりません。手っ取り早いのは To-Doリストを定期的に更新することです。ただし時間のかかるものに対して、To-Doリストの更新だけではうまくいかない場合があります。特定のタスクまたはプロジェクトへのめり込み、ペース配分を把握できずに、結果として他のタスクまたはプロジェクトを犠牲にしてしまうことにもなりかねません。最悪のケースは途中で中断に追い込まれることです。このような事態を防ぎ、最後までやりきるためにも、きめ細かい定量的な進捗管理が求められます。

その解決方法のひとつとしてアーンドバリューマネジメントの手法があります。

アーンドバリューというと馴染みが無い方が多いと思いますが、計画に対する出来高の考えを取り入れた進捗管理手法です。ある学会での「研究発表大会」の準備という個人のプロジェクトを例に説明します。発表用の原稿(数ページ)と当日の発表のプレゼンテーションシートがアウトプットになります。

まず、原稿用の章立てとプレゼンのページ構成を決め、そこから初期のWBS(Work Breakdown Structure)を作成します。その後WBSについて自身で遂行を重ね、章立て毎にかかる時間を見積もります。次に日程に落とし込むために、一週間毎にそのWBS に予測時間を割り振ります。それで計画は完了です。その後、一週間毎に計画見合いの成果に対して、実際かかった時間は何時間か帳票に記入するだけです。予め計算式を埋め込んだ帳票を用意すれば、一週間単位で計画の値(PV、Planed Valueの略)、原稿の場合の章立て毎の出来高(EV、Earned Valueの略)またはプレゼンシート一枚毎の出来高(EV)、実際かかった工数この場合は時間(AC、Actual Costの略)を埋めることで、現状の進捗や予測値が自動的に表示されます。

個人プロジェクトにとって、いつ完了しそうかということは気になる点です。アーンドバリューマネジメントの手法を使うと、勘に頼らないで完了日を予測することが可能です。

このようにTo-Doリストの中で時間のかかるものに対して、アーンドバリューマネジメントの手法を取り入れると、ペース配分を考慮して実施することができます。その結果、同時進行するTo-Doリストの他の項目への悪影響を防ぐこともできます。前記研究発表準備の事例では、プロジェクト期間の途中で、計画見合いの出来高(EV)の遅れが自身、把握できましたので、早めに土日に時間の確保を行って、遅れを取り戻したことにより研究発表当日の二週間前までに完了できました。余裕を持って当日を迎えることができたことにより、他のTo-Doリストへの対応も確実に行うことが出来ました。アーンドバリューマネジメントを使わなかったら、研究発表の当日までにという期限だけが頭に残り、後ろから線引きしてしまい研究発表の当日の数日間は頭がいっぱいで、他の事はおろそかになってしまっていたに違いありません。またアーンドバリューマネジメントを使用しますと、途中で進捗を確認しながら進められますので目標の達成までの距離を掴むことができ、頑張ろうと意欲が沸きます。

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個人プロジェクトの成功の為に、全体像を掴み、事前に検討すること

よく、皆さん、プロジェクトの計画が大事ということを、先輩社員から聞いたことありませんか?

例えば、自身の場合、プロジェクトの終盤で、課題が露呈して、なんで、計画の段階で、検討しておかなかったのかと言われたことがあります。

ただ、計画の段階での検討が大事だということを、知識として、または大きな失敗の経験から、計画の段階で、検討が大事だということを認識することでしょう。

計画の段階で、検討することの前に全体像を把握することが、真っ先に取り組まなければならないでしょう。その為には WBS(Work Breakdown Structure)を作ることが、一見 面倒に見えますが、最も効果的です。

WBSはプロジェクトの全体を成果物まで細分化し、階層的に展開したものです。新製品開発など組織のプロジェクトではWBSを作るとき、チームメンバーや経営層といったスポンサー、その他ステークホルダー例えば部門責任者なども参加させ、プロジェクト作業を明確に定義します。新製品開発の場合、構想・計画段階で、全体像の検討不十分のため初期のWBSが更新されずに計画として使用されると、見積もり精度が悪くなります。あれもこれも検討不十分だったと後半に露見し、大きな影響が出ることにもあり得ます。開発費が3倍以上に膨れ上がることや、出荷日程が数か月遅れ製品としての価値が半減することなどです。

WBSは、組織プロジェクト向けと思われているかも知れませんが、個人のプロジェクトにおいても、効果を発揮します。また、組織の場合は、プロジェクト内外のメンバーとの共有化することもあり、ツールも限られていますが、個人にとっては、ツールの習熟に時間をかける必要はなく、身近なものです。

WBSの形は、階層構造が明確にわかる組織図のようなもののほかに、A3やA4、1枚程度の表の形などあります。

以下、自身の個人旅行の事例を述べます。

旅行ハンドブックを基にして訪問したいところをピックアップし、初期のWBSを作成します。その後、時間が経つにつれて、漏れが分かってきたり、あの場合どうするかという疑問が沸いてきます。旅行先に詳しい方のアドバイス聞いたり自分で繰り返し調べたりします。疑問点を解消しながら、WBSを更新していきます。天気が良くない場合の対応やら交通手段が無いといったリスクに対しての対応も頭の中であれこれシミュレーションすることができます。

WBSを更新するにつれて、スケジュールが明確になり、かかる費用の見積もりがより細かくできるようになります。WBSを作成することでプロジェクトの全体像が徐々に明確になってきます。自身の個人旅行のケースでは、限られた予算と夏休みの間という制約の中でパック旅行では味わえない異文化を肌で感じることが出来ました。是非、皆様もステークホルダーの協力を得て、WBSを作成しましょう。プロジェクトの成功は全体像を掴み、事前に対応を検討しておくことにかかってきます。

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