カテゴリー別アーカイブ: 4 内発的動機づけ

うつむかず 胸張り浮かぶ いい発想

職場に向かう時どういう姿勢で歩いていますか。
うつむいて歩いていませんか。
遊びに出かけるときはどうですか。
逆に胸を張って歩いていますか。
以下の話は、当時現役の女子プロゴルファーだった宮里藍選手が国内で活躍していた時のテレビの特集番組でのインタビューの内容です。
いつも背筋を伸ばして歩いている宮里選手の姿勢に関しての質問に対して以下のような回答がありました。
確かに当時のテレビで見る歩く姿勢は他のゴルファーよりピンと背筋が伸びて美しかったような気がします。
「父から胸を張って歩け。うつむくなと言われてきた。人間はうつむいていると決して良い考えは浮かんでこない。胸を張って背筋を伸ばして前を向いて歩くことで、脊髄の中の血の流れが良くなって、いい考えが浮かんでくる。血の流れが良くなるので、それが心理的にも落ち着くことができる。」といった主旨の内容でした。
身体と心の関係として次のようなことも言われています。
上を向いて悲しいことを考えるのは難しい。逆にうつむいて楽しいことを考えることも難しい。(一概には言えないかもしれませんが)
これは、パーソナルプロジェクトを進めていくうえでの行動としても
大事なことではないでしょうか。
猫背のままプロジェクトにずっと取り組みのではなく、時には背筋を伸ばす体操をし、上を向いて良いイメージを浮かべ、胸を張って歩くようにしませんか。
わたしは悩みがあっても歩くときは意識して背筋を伸ばして歩くようにしています。夜人気がないときは、坂本九ではありませんが、上を向いて歩くこともあります。泣いているわけではないですけどね。
©2023 Fumiaki Tanaka All rights reserved.

LL振り返り20190624

パーソナルPM研究会_LL振り返り_20190624_公開用

『心は行動となり、行動は習癖を生む。習癖は品性を作り、
品性は運命を決する』
ひいては「その変わった心で毎日の仕事や生活に取り組むこ
とで、運命を変えられるのではないか」という思いも昂じて
きました。
私は、その昔自分のTo-doリスト項目が完了した時に、気づ
いたことを項目の右にちょこっとメモするのが習慣になりま
した。自分用なので一言だけなのですが。数年やっている
と、同じ気づきが何度も出るのがわかりました。
自分用に10年続けた結果がこうなった
優越を求める価値観  >  人生の成功に焦点
理性を求める価値観  >  真理の追求に焦点
安心を求める価値観  >  平等な社会に焦点

パーソナルPMコミュニティで3回にわたり、LLを見直しながら自分の人生の目標・目的について考えてきました。

深く考察を進めていく中で、自分がどの価値観に重きを置いているのか、これを考える指標になるものを編み出す必要を感じ、これまでにやってきたことを分類整理してきました。

今回もLLを振り返りながら、この会を通して自分自身が達成パーソナルPMについて考えていることを発表します。(6/24発表予定、この記事は6/22に書いています)

LL振り返り20190520

明日の会に向けて準備しました。

パーソナルPM研究会_LL振り返り_20190520_公開用

LL振り返り20190415

マルチステージの時代に

寿命の伸びは世界各国で顕著です。この60年ほどを見れば次のグラフのようになっています。日本では1947年から詳しい統計がとられていますし、欧州各国では19世紀半ば、または1920年代から作成されてきたのに驚きます。公開されている“Human mortality database”に蓄積された38か国のデータの中で、上昇傾向以外の複雑な動きはロシアだけで他に例外はみあたりません。(図が見づらい時はクリックしてご覧ください。)

例えば2007年に生まれた人の平均寿命は軽く100歳を超えるとの予測がされています(注1)。ところが先進国の人口ピラミッドは次のような形で、高齢者をささえる若年層が不足しています。改善の努力が先進国で行なわれてきましたが、ご承知のとおり日本は先細りが直っていません。ここに示しませんが、例えばインドやマレーシアでは各国の寺院の屋根のような形、アフリカ諸国では下辺の広いピラミッドです。(図が見づらい時はクリックしてご覧ください。)

若年層が少ないと平均寿命に影響するのかちょっと気になりますし、イスラエルの人口構成がきちんとしているのにも驚きます。少し脱線しますが、疑問を解くため年齢別の死亡率を調べたところ、高齢層と若年層では桁違いの差があり平均寿命に殆ど影響しないことが分りましたので更新しておきます。下の図は日本とイスラエルの比較です。

要するに平均寿命は純粋に伸びています(米英等で最近になって横ばい気味なのが気にはなりますがきっと原因があるでしょう)。仕事時代より退職後が長くなっているでしょうし、それを支える長い「年金生活」という発想は成り立ちにくくなるでしょう。

人生が1)学び、2)勤め、3)隠居の3ステージから成るという過去の観念は捨てる必要があるでしょう。ステージが混じり繰返すような「マルチステージ」(注1)の人生が増えるというわけです。日本では15歳未満と65歳以上が被扶養層と定義されていますが、70歳、さらに80歳まで仕事をするのが常識となるかもしれませんし、年齢だけでの差別はなくしていくべきと思えます。

最近のパーソナルPMコミュニティの会合で、メンバーの徳永光彦さんがマルチステージを取り上げられたのに触発され、筆者を含め多くのメンバーが現代の人生におけるその重要性に改めてフォーカスしています。一人では気づきにくいことも皆と検討すると気づくことの典型でしょう。

若手メンバーの柳沢大高さんは、スキル修得に関する執拗な研究成果の一端を、一般向け書籍として書かれています。8月23日に発行されることになりました。マルチステージへ向けた「学び」へ正面から向き合うための格好の書となることを期待しています。

改めて身近な人たちを見回せば、マルチステージを実践している人は既にたくさん居るのに気づきます。皆様の周囲にもおられるでしょうし、考えてみれば筆者もその仲間です。それが続けられるためには健康が第一ですし、自分で考えるミッション(目的の構造化)、柔軟な思考や新しいことを受容れる姿勢などがますます大事になると思います。

パーソナルPMコミュニティでは2018年10月14日(日)の午後、「パーソナルPMシンポジウム2018」(参加無料)を都内で主催することとなりました(満席となりお申し込みを締め切らせて頂きました)。

PPM18A6

その中で徳永さんのマルチステージ実践に基づく発表も予定されています。投稿が長くなり過ぎるため、「パーソナルPMシンポジウム2018」については後ほど別投稿としてご案内したいと思います。パーソナルPMに少しでもご興味をお持ちになられたら、どなたでも気楽にご参加いただけるようお待ちしています(すでに満席となりお申し込みを締め切らせて頂きました)。

(注1)Lynda Gratton & Andrew Scott, The 100 year Life,2016. 池村千秋訳、ライフシフト、東洋経済新報社、2016.

©2018 Akira Tominaga. All rights reserved.

 

目的はいつも複数持つ

単純ですが、これは大事なことだと思います。今までこのLL集のどこにも書かれていないことに気づきましたので慌てて追加します。

1つだけの目標へと邁進するのが良いかのように書かれている自己啓発書籍は複数あります。ところが、その一つの目標をめがけて全てがうまく行っておればよいのですが、つまずいたり壁に当たったり、何らかの失敗や不遇はあるものです。

目標がひとつだけですとその際に心が折れやすく、立ち直り難くなります。目標を複数持っていれば、そういう場合に気持ちを入れ替えることができ、立ち直るのが容易になります。

困ったとき何度もそれに助けられてきているのですが、恐らくどなたも多かれ少なかれご経験をされ、思い当たることがあるのではないでしょうか。一つの目標だけに固執するのが間違いになることも多くあります(さらにご興味のある方はJohn Krumboltzの研究成果による著書をご参照)。

組織でも個人でも一般的に、目標(Objectives)の上には目的(Goals)があるべきで、その目的へ向かって目標が複数設定される形が普通でしょう。つまり目標の上の目的がしっかりしていることは重要です。ただ、目標と目的は相対的な位置づけですから、とどのつまりは目的を複数持つのが良いということに行き着きます。さらに、ここでは目標と目的だけ書いて言いますが、より上位のビジョンがしっかりしていることも大切なことだと思います。

上位の目的がしっかりしているのなら、それを目指す目標の一つや二つで失敗したからといって、ひどくは落ち込まないものです。逆に、失敗や不遇の経験がないことこそひどく落ち込む原因でしょう。そういう経験が豊富なら多少の事には負けませんし、偶然や失敗が次へのチャンスへとつながることもあるでしょう。

1つの目標だけに執着せず、柔軟な対応ができるためには、結局は「目的・目標の構造」を意識することが大事だと思います。このあたりは電子書籍「実践パーソナルプロジェクトマネジメント」に書かせていただきました。偶然の出来事や失敗は常にあるものですが、目的をめがけていることこそ、その偶然や失敗が好機となる源だと思います。

当たり前のことかもしれませんが、自分で忘れないためにも書かせていただきました。何かのご参考になれば幸いです。

©2017 Akira Tominaga. All rights reserved.

困難な状況を前向きな心で乗り切る方法

タイトなプロジェクトや困難な業務の渦中にいるときなど、心身が本調子でない時は誰しもあると思います。

心と身体は相互に関連が強いものですから、困難な状況においては心身両面からのケアが必要になります。本稿では現在の日本においては、身体の健康に比較して知識の浸透が十分でないと思われる、「良い心の状態を保ち困難な状況を前向きな心で乗り切る方法」について、実体験を踏まえて述べたいと思います。

いわゆる「メンタル」は心の病気にかかってしまったあとを指す場合が多いと思いますが、今回述べたいのは健常な人が良い心の状態を保つための方法についてです。心理学や脳科学の知恵を活用します。

心理学は長い間、精神の疾患の部分を中心に研究されてきましたが、1998年頃より健常な人の生活をより充実させ生産性をあげるものとしても研究されるようになりました。それらのエッセンスは主に欧米の有名大学・有名企業で積極的に取り入れられ、近年では専門家でない人たちもその知恵の恩恵を享受出来るようになりました。日本でもベストセラーになったものをはじめとする複数の翻訳本や、ゴールデンタイムのTV番組でも取り上げられたことがあるので、ご存知の方もいらっしゃることでしょう。

その中で紹介されている効果的なプログラムを1つご紹介します。

それは、「1日に3つ感謝すること(ありがたく思うこと)を21日間書き出す」プログラムです。騙されたと思って、是非、やってみてください。家族、健康、仕事、友人、環境、長所、得意なこと、過去の経験・・・・など何でも良いのですが、思いついたことをとにかく21日間毎日書いていきます。私は携帯電話のメモ帳を活用して、21日間寝る前や通勤電車の中で書き続けてみました。細かいことも含めて、100以上感謝することを列挙することが出来ました。

もともと私は置かれている状況について、良くない側面に目を向けたり、余計な心配をしてしまうところがありました。このプログラムをきっかけに物事の良い面に意識をフォーカスすることが少し出来るようになりました。さらに物事の捉え方は自分の脳が周囲の環境や状況をどう処理するかにかかっているだけということにも気付きました。

プロジェクトマネジメントのコミュニティで活動しているくらいですので、私は目標を設定したり計画をきっちり立ててから動くことが好きです。行動の優先順位を決定し軌道修正しながら常に新たな目標を設定し続けるため、現状に満足感を持つ時間が少なかった気がします。「ポジティブな考え方をする人はネガティブな考え方をする人より生産性が高い。成功するために頑張るのではなく、現状へのポジティブ度合いを高めることが成功するために重要。」という興味深い主張をしているハーバード大学の先生もいます。現状に満足せず頑張ることも大切なことですが、現状に満足することもまた大切なことだと思います。

ちょっとした考え方や心の持ち方の違いですが、良い心の状態を保ち困難な状況や仕事を乗り切るために、心理学や脳科学の知恵は有用に感じています。

本日は、このような記事を書く機会をいただけたパーソナルPMコミュニティに感謝して(笑)、筆を置きたいと思います。

家事をインスタントタスクとして実施

自身、定年が近づいていることもあり、最低限の家事が出来るようにしたいと考えはじめたところです。数年前から、考えていたことですが、頭と行動が別で「よし、やろう!」という風には踏ん切りが付きませんでした。

そこで、ラーキンのインスタントタスクの方法を取り入れてみることにしました。ラーキンのインスタントタスクは、数分以内にできることを、目標を達成する行動の中から、切り出し手をつけるものです。 なぜなら、大上段に「??料理をつくる」ということだと、何に手をつけてよいか考え込んで、後回しにして時間が無いからと言い訳をし、結果として出来なかったというように成りかねないからです。

インスタントタスクとして、頭に浮かんだものは以下です。「茶碗など洗い物をする。」「洗ったものを拭いて食器棚に収納する。」「キャベツを千切りにする。」「洗濯物を干す」「洗濯物を入れる」「ごみをまとめる」「ごみを出す」「米を研いで炊飯器に入れ、スイッチを入れる」「風呂を洗って、スイッチを入れる」「ヒーターに灯油を入れる」などです。更に余裕あれば、「味噌汁のために具を用意する」「魚を焼く」などです。インスタントタスクとして切り出すと、自身の好きなサスペンスドラマや時代劇など、コマーシャルの間でも可能です。

このように数分で出来ることから、はじめると、慣れないことでも、出来そうだということが、頭にインプットされ、出来るようになります。1日に4回程度でも20分です。一か月では10時間も家事に取り組んだという実績ができます。妻にも好評です。夕方、自身の方が早く帰宅しているときなど、ご飯と味噌汁を作り、洗濯モノを取り込むことなどを行います。妻からは、安心して外での用事に専念できるようになったと言われています。
インスタントタスクの実行が習慣づくと、応用で料理なども出来そうな気になってきます。
今まで家事をほとんどしてこなかった人にとっては、大進歩だと思いませんか?

© 2016 Mitsuhiko Tokunaga, All rights reserved.

雑魚キャラのように闘う

30年ぶりに再開した柔道を、今も細々と続けている。道場以外にも、筋トレに通い、毎日、最寄りより遠い駅に自転車で通勤し、少しでも進歩しようと試みてはいるが、50歳のおじさんが急に強くなるわけもなく、大人の中で僕が一番弱いのは変わらない。

道場に最近、中学生が入門してきた。休まず、一所懸命に練習しているが、大人たちにはなかなか歯が立たない。ある日、道場の先生が僕を指して彼に「まずはこのおじさんを倒すのを目標にしなさい」と話していた。越えられるかもしれない目標を提示して、やる気を失わないように、という配慮であろう。それは分かる。

ただ、その時、僕の脳裏によぎったのは、「俺は雑魚キャラか…?」ということだった。「俺様を倒さなければ、あの方に相見えることはできん!」と大見得を切るものの、案の定、主人公にあっさりとやられてしまう、昔の漫画によく出てきた“最初の関門”的キャラである。知っている人しか知らないと思うが、「北斗の拳」のジャギや、「魁!男塾」の男爵ディーノとかが代表格であろう。当然、当時20代だった僕はそんな雑魚キャラに特別な注意を払うこともなく、あるいは嘲笑、冷笑し、ケンシロウや剣桃太郎といった主人公キャラに自分を重ねていたのであった。

話は変わるが、この歳になって柔道を再開し、気付いたのは「自分がいかに負けること、恥をかくことを恐れているか」ということだった。とにかく、投げられるのが怖くて嫌でたまらない。手加減されるのも許せない。結果、やられまいとして身体はガチガチになり、やられる回数は減るものの、そんなに固くなっていては満足に技もかけられない。

反面、新しく入ってきた中学生も、たくさんいる小学生たちも、嬉々として、自分よりはるかに強い大人たちに稽古をつけてもらっている。何回投げられようが、お構いなしに飛びかかり、技をかけ続けている。

その姿を見て、自分が柔道を始めた高校生の時を思った。自分も彼らと確かに同じで、やられてもやられても、自分より明らかに強い相手に立ち向かっていた。

社会人としての自分はどうだろうか?新人の時はどんな仕事でも、たとえ失敗する可能性が高い提案やプロジェクトであっても、必死になって取り組んだ。それが年月がたち、上司という立場になり、責任を負い、適当に世間ずれし、仕事も少しはできるようになって、失敗できなくなり、そして失敗する回数も減っていった。否、失敗する可能性があることに挑戦しなくなっただけなのかもしれない。

そう考えると、今まで歯牙にもかけなかった雑魚キャラのすごさが身に染みてきた。確実に勝てない相手に対して不敵なセリフをはき、立ち向かい、そしてやられる。可能性としては二つしかない。被我の実力差が分からないほど頭が悪いか、負ける可能性が高いことを知っても立ち向かう勇気があるかだ。漫画での描かれ方からは、前者の可能性が高いことが強く示唆されてはいるが、雑魚キャラとて闘う者のはしくれ、僕でさえ見た瞬間、組んだ瞬間に感じられる実力差が分からないはずはない。勝てると思って、勝つことを信じて闘う主人公より、負けると知ってなお闘う雑魚キャラの方が、本当は勇気があるのではないか。

柔道でも仕事でも、いい雑魚キャラになりたい。一回もやられたくないとガチガチに守るより、十回投げられてもいいが一回でも倒すという闘いをしたい。それができて初めて、「負けない代わりに勝ちもしない」毎日を乗り越えることができるのだろう。

けれども、たとえそうしたとしても、僕は2~3年後に高校生になった彼に投げられるだろうし、十回やられるだけで一回もやれないかもしれないし、それはもしかしたら柔道だけではなくて、仕事も人生もそうかもしれない。それでも雑魚キャラらしく、最後まで不敵なセリフをはき続けていたいと思った。

 

© 2016 Masao Kawasaki, All rights reserved.

やる気を失う要因の逆は、必ずしもやる気を出す要因ではない

ある時パーソナルPMの追究メンバーで、「自分でやる気を出す方法を整理してみよう」ということになりました。やる気を出す方法は書物やWebにずいぶん沢山出ています。ところが人によっては全然効き目がなさそうなものも見当たります。特定の人の状況での経験や、仮説などですから、そういうこともあるでしょう。

カテゴリー分けを試みると最初はおよそ40の方法になりました。それらの効果を何らかの根拠に基づいて検討したいわけです。プロジェクトマネジメントの知恵は実践の積み重ねによる形式知です。それに倣って、メンバーが自分の経験を振り返り、「やる気が出なくなるケース」をできるだけたくさん挙げようということになりました。
メンバーからは出るわ出るわ、やる気をなくすケースなら何と沢山あることでしょうか。「特別に頑張って結果を出したのに上司が気付かない」「出勤前に配偶者に愚痴を言われる」「昇給が同期より少ない」「皆の前で怒られた」「仕事場の雰囲気が暗い」など、80数ケースも出てきました。カテゴリー分けを試みていった結果24種類になりました。
やる気を出す方法は、組織に有効でも個人には効かなそうなものを外していったん33個となりました。やる気をなくす要因の行とやる気を出す方法の列をマトリックスにすると交点が800近くあります。それらを一つずつ点検していきました。やる気をなくす場合に、各方法が効くかどうかを点検したわけです。
その過程で、やる気のない状態から脱出できるものの、「何かに挑戦したい」とか「やる気に火が付く」といったところにまでは至らない場合があることに気付きました。モチベーション理論における『ハーズバーグの2要因説』の通りなのでした。積極的な動機づけをする要因と、動機を失う要因(衛生要因)とがあり、後者を解決しても前者になるとは限らないという理論です。ハーズバーグが示す動機づけ要因から4カテゴリーをマトリックスの行に追加し、カテゴライズを修正し22種が残りました。つまり最終的には24x22を点検したことになります。

こうして「個人がやる気を出す方法10選」を選ぶことができました。もし私達が基礎理論を先に何も検討していなかった場合は、そのようなことに気付かなかったのではなかろうかと、半分ゾッとしたのでした。

組織のPMではメンバーの動機づけやソフトスキル面がしばしば議論されます。そういう場合も毎度ゼロから議論するのではなく、心理学の基礎的な理論等をある程度踏まえたうえで自由に議論することが、建設的な結論を得るには大事なことだと思いますが皆さまはどう思われますか?

(c)2016 Akira Tominaga. All rights reserved.