ペース配分にアーンドバリューマネジメントを使う

個人にとって最も大切なリソースは何でしょうか? それはまぎれもなく時間です。人生は有限ですから。個人にとっては同時進行するタスクやタスクより込み入ったプロジェクトが常時、小さいものから大きいものまで存在します。数分で対処できるものから百時間以上かかるようなものまでまちまちです。 複数の目標を同時に達成するためには、個々のタスクやプロジェクトの時間を見積もり、期限を意識して対処する必要があります。そして同時進行するタスクやプロジェクトの時間割り当てや重要性や緊急性を考慮し進捗を確認しなければなりません。手っ取り早いのは To-Doリストを定期的に更新することです。ただし時間のかかるものに対して、To-Doリストの更新だけではうまくいかない場合があります。特定のタスクまたはプロジェクトへのめり込み、ペース配分を把握できずに、結果として他のタスクまたはプロジェクトを犠牲にしてしまうことにもなりかねません。最悪のケースは途中で中断に追い込まれることです。このような事態を防ぎ、最後までやりきるためにも、きめ細かい定量的な進捗管理が求められます。

その解決方法のひとつとしてアーンドバリューマネジメントの手法があります。

アーンドバリューというと馴染みが無い方が多いと思いますが、計画に対する出来高の考えを取り入れた進捗管理手法です。ある学会での「研究発表大会」の準備という個人のプロジェクトを例に説明します。発表用の原稿(数ページ)と当日の発表のプレゼンテーションシートがアウトプットになります。

まず、原稿用の章立てとプレゼンのページ構成を決め、そこから初期のWBS(Work Breakdown Structure)を作成します。その後WBSについて自身で遂行を重ね、章立て毎にかかる時間を見積もります。次に日程に落とし込むために、一週間毎にそのWBS に予測時間を割り振ります。それで計画は完了です。その後、一週間毎に計画見合いの成果に対して、実際かかった時間は何時間か帳票に記入するだけです。予め計算式を埋め込んだ帳票を用意すれば、一週間単位で計画の値(PV、Planed Valueの略)、原稿の場合の章立て毎の出来高(EV、Earned Valueの略)またはプレゼンシート一枚毎の出来高(EV)、実際かかった工数この場合は時間(AC、Actual Costの略)を埋めることで、現状の進捗や予測値が自動的に表示されます。

個人プロジェクトにとって、いつ完了しそうかということは気になる点です。アーンドバリューマネジメントの手法を使うと、勘に頼らないで完了日を予測することが可能です。

このようにTo-Doリストの中で時間のかかるものに対して、アーンドバリューマネジメントの手法を取り入れると、ペース配分を考慮して実施することができます。その結果、同時進行するTo-Doリストの他の項目への悪影響を防ぐこともできます。前記研究発表準備の事例では、プロジェクト期間の途中で、計画見合いの出来高(EV)の遅れが自身、把握できましたので、早めに土日に時間の確保を行って、遅れを取り戻したことにより研究発表当日の二週間前までに完了できました。余裕を持って当日を迎えることができたことにより、他のTo-Doリストへの対応も確実に行うことが出来ました。アーンドバリューマネジメントを使わなかったら、研究発表の当日までにという期限だけが頭に残り、後ろから線引きしてしまい研究発表の当日の数日間は頭がいっぱいで、他の事はおろそかになってしまっていたに違いありません。またアーンドバリューマネジメントを使用しますと、途中で進捗を確認しながら進められますので目標の達成までの距離を掴むことができ、頑張ろうと意欲が沸きます。

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