カテゴリー別アーカイブ: 1 目的と手段の連鎖

振り返りをしましょう、次回の目標達成への近道となります

組織プロジェクトにおける自分の役割について、個人の目標をたてて実践することで振り返りにより気付いたことを教訓とすることができます。

 

プロジェクトが始まるとき、体制図があり自分の役割が決まります。その時にやるべきことについて、目標を明確にして自分なりの作業を計画します。

その計画を実行するときには、全体計画表にあるマイルストーンやイベントのある時点が区切りとなりますので、省みるタイミングとします。あるいはすべてが終了したときには、省みるタイミングとなります。そうすればメンバー全員で「振り返り」ができ、プロジェクトの振り返りにも役立ちます。新しくプロジェクトに参加するメンバーにも「振り返り」の習慣ができるようになります。

振り返りとしては良かった点と悪かった点を書き出してもらいます。区切りごとまたは終了時は自分個人としての良かった点と悪かった点を記録しておきます。

良かった点は、案外忘れていくものです。ほかの人に褒められたり、マネされたりしている点は、他の人にとっても役に立った証拠です。自分の知恵袋に登録したいものです。したがって区切りだけではなく、気が付く度に記録することを推奨しています。

最初は個人の記録にすぎませんが、プロジェクトが終了したときには個人の知恵袋になっています。振り返り集は宝物です。

個人だけの振り返り集を作っても良いですが、リーダーがまとめて振り返りミーティングを実施し、共有することもとても良いことです。

良かった点は今後も、それを取り込んでいけば、効率よくプロジェクトを遂行できます。

個人のプロジェクトでも同様です。

先ずは、良かったことを細かいことでも構わないので記録します。一つでも見つけることが大切です。そして悪かったことを記録します。つまり反省点です。立ち止まってひとり反省会をします。思い出に浸るのではなく客観的に振り返ることが大切です。

良かった点は今後に生かすために残します。悪かった点は改善するために残します。プロジェクト終了時に1分でも振り返り、改善点や自分に役立つ教訓は記録します。記録は1か所にまとめるようにします。記録する改善事項は同じものが重複しないように項目別に分類しておきます。改善点や教訓がたまると、個人用の改善点・教訓リストになります。個人プロジェクトの計画をたてるときにこの改善点・教訓リストで点検します。改善点・教訓リストは、増える一方ではなく、より良いものに更新していきます。

あるプロジェクトでの振り返りで「良かった点」について、複数のメンバーが下記の点を挙げています。プロジェクトの立ち上がり時点、つまりキックオフミーティングが開催されたことです。そこでユーザーが今回の要件の開発目的と出来上がった時の使用目的を説明し、便利になることにより現場が効率よく仕事ができるようになることなどを説明しました。目標が明確になり、参加者は出来上がりをイメージすることができたことが良かったという意見です。

目的が明確になり、全体の不備率(障害件数)も通常のプロジェクトより大幅に減少しました。

通常、リーダーレベルのメンバーしか案件説明会に参加しなかったのですが、その後はできるだけ多くのメンバーが説明会に参加できるよう、工夫しています。

このような場合、個人のプロジェクトでも目標を明確にし常に出来上がりをイメージすることは、失敗も少なく成功へと導くことになると思います。

振り返りを実施し、良かった点、悪かった点を記録し、自分の教訓リストを作ってみてはいかがでしょう。

「プロジェクト わが目標も 立てておけ」

仕事でプロジェクトを開始する時に、個人の目標をたてていますか?

先日、ある会社のプロジェクト・マネジャーと話す機会がありました。そのマネジャーはプロジェクトのキックオフ時にプロジェクトの概要を関係者全員の前で説明するだけでなく、プロジェクト・メンバ一人ひとりにプロジェクトにおける自分の目標を述べてもらっているそうです。

「このプロジェクトで自分はネットワーク工事について、関係先との調整能力を磨きたい」

「このプロジェクトを成功させるために、ネットワーク技術者の資格を取得できるように勉強します」

「入社して間もないので、○○通信システムの設計を早く覚えて、次から戦力になれるようにしたいです」

このように自分がこのプロジェクトを通して何を学ぶのかを宣言することで、プロジェクトに対して受身の姿勢から能動的になってきたと言っていました。始めた頃はなかなか目標をきちんと言えなかったようですが、簡単なことでもいいので一つ目標を設定するように繰り返しやっているうちに、目標達成の喜びも加わり中身のしっかりした目標に変わってきたようです。

プロジェクト本来の目的とは別に、プロジェクトにおける個人の目標も設定することで、仕事に対する姿勢が変わってきた例だと思います。

個人の目標の先にしっかりした目的を設定しておくことが重要です。何のために調整能力を磨きたいのか、何のために資格を取るのか、ということも考えておかないと、資格を取ることが目的になってしまいかねません。最初に目的と目標を掲げて、やる気が自然と湧き上がる形で個人プロジェクトをやっていきませんか。

(c)2015 Fumiaki Tanaka All rights reserved.

「ふりかえり 教訓出しは 熱いうち」

個人プロジェクトでもふりかえりをすることは大事です。ふりかえりを繰り返すことによって、知識、経験が確実に蓄積されます。ふりかえりをしないと失敗を繰り返しかねません。成功したとしてもなぜうまくいったのかという教訓を残せないため、次回の成功確率が下がります。かなり痛い目にあった経験は、ふりかえらずとも身体が覚えているかもしれませんが、そういった例はごくまれです。

ふりかえりで注意しないといけないことは、実施するタイミングが大事だということです。ふりかえりを行なう時期が遅くなればなるほど、過去の記憶が失われ、その時の生々しい感覚も失われてしまいます。そして、「大変だったけど、もう終わったことだし今さら思い出すのもなぁ」とか「随分前のことだから、もういいよ」と、なってしまいがちです。

わたしは毎朝起きてから寝るまでの行動記録を手帳に記載しています。そして、一日の最後に手帳を見て、その日のふりかえりをし、日記に一言書くようにしています。良かったことでも、良くなかったことでも、その日のふりかえりで気付いたことを記載します。「次はこうしよう」といったことを書くこともあります。今使っている日記は、10年間書くことができるようになっているので、昨年の同じ日に何を考えていたのかわかります。過去の教訓を改めて思い出すこともできます。もっともあまり変化も無くふりかえることが何もない日もあります。そういったときは、「(過去のふりかえりのお蔭で)問題なく一日が過ごせた」とだけ書くようにしています。個人のふりかえりですので、格好いいことを書こうと気張る必要はありません。自分にとって大事だと思ったこと、今後のために記録に残しておこうと思ったことだけ書けばいいのです。

「鉄は熱いうちに打て」。このことわざのようにタイムリーにふりかえり、明日からの自分の糧としませんか。

(c)2015 Fumiaki Tanaka All rights reserved.

 

パーソナルPMのフレームワーク

パーソナルPMのフレームワークを下に掲載してみます(あれ、画像がちょっとボケますかね。画像をクリックしていただくと鮮明なのが出ます)。

私は、その昔自分のTo-doリスト項目が完了した時に、気づいたことを項目の右にちょこっとメモするのが習慣になりました。自分用なので一言だけなのですが。数年やっていると、同じ気づきが何度も出るのがわかりました。同じことを何度も書かないようカテゴリー化しまして、自分専用のチェックリストの目次にしたつもりでした。つまりこの表の「活動」の右側には、私の場合いろんなLLが自分専用のひとことで色々溜まっています。それを他の人が分るように今後書きたいと思っています。

そういうわけで、パーソナルPMのフレームワークはこう分けなければならないというわけではなく、自分用に10年続けた結果がこうなったというものですから、人によって異なることがあって当然かもしれません。たまたまそれを5年前にフレームワーク例として、現在のパーソナルPMコミュニティの皆さんに提案した結果、次のような表に落ち着いてきたものです。今回皆さんがたくさん投稿される内容によっては、必要があればこのフレームワークも更新したいと考えています。

この表にある「知識」の内容は、組織用のPMと重なるものがありますが、個人のPM独特の内容もあります。これをどういう風に見て使うとよいかについては、今後どこかでまた書くとして、色々ご想像いただくとよいと思います。色んな知恵を溜めたり参照したりするには、何か目次があると便利ですね。BOKと呼ばれるものも同じような理屈があるわけすが。まずはとにかく掲載まで。

パーソナルPMのフレームワーク

PM実践力向上は、身の回りの身近なテーマから

個人の場合、身の回りに身近なプロジェクトが存在します。しかも対象領域が広くプロジェクトマネジメント(以降PMと呼ぶ)実践力向上の訓練としてはうってつけです。

組織のPM例えば新製品開発の場合は、期間が一年から数年に及びますが、個人の場合、期間は数日から数週間、長いもので半年程度です。よって個人PMの場合、短期間に成果や反省点が浮き彫りになり次回へフィードバックが迅速にできます。PMの視点で考察しますと新製品開発が顧客や会社の経営陣、個々の職能の責任者、プロジェクトメンバー間とのコミュニケーションにかかるウェイトが高いのに対して個人の場合、自身の動機付けをどのように高められるかという点が大切だという点が異なります。

新製品開発プロジェクトを成功するためには、PMの研修を受けて、組織のPMに活用することもありますが、研修の内容をそのまますぐに現場で役立たせるには、難しい点があります。大抵、リスクの影響が大きく失敗が許されないケースが多くあるからです。また同様のプロジェクトを経験するという方法があります。しかし新製品開発のプロジェクトは期間が長く、また業界特有の知識の習得にも時間がかかり、一連のPMの実践経験という点では必ずしも十分ではありません。そこで個人PMによって自身のマネジメント力の強化を実践し、上記のような違いを認識し組織PMに必要なプラスアルファ部分を補うというやり方があります。身の回りのテーマで個人PMとして意識し、To-Doリストの活用、中長期の目標や直近の目標設定、WBSの展開、スケジュール、コスト、リスクマネジメント、Lessons Learnedの記録といった点などPMとして必要な要素の体得を繰り返すことです。

新製品開発において、プロジェクトはプロジェクトマネージャーのもと企画部門、営業部門、技術部門、調達部門、工場等各職能部門の代表から構成される横断チームで構成されます。更に各職能部門においても、数人また数十人からなるメンバーがプロジェクトに関わっています。このように新製品開発プロジェクトを分解すると究極は個人です。身近なテーマで個人PMによるWBSの検討またはTo-Doレベルのタスクの洗い出しによる訓練が、新製品開発に役立ちます。新製品開発では、職能部門内外のまとまりとして統合WBSとして管理します。個人のPMに加えて、統合のマネジメントやコミュニケーションを意識し業界固有の関連知識を追加すればよいのです。

プロジェクトのサイズに関わらず、PMの基本は変わりません。 PM実践力向上は、身の回りの身近なテーマにおいて個人PMとして経験を積み上げる方法が最も効果的です。

© 2015Mitsuhiko Tokunaga, All rights reserved.

目標の上位に目的があることを意識する

目標達成できなかったとき、その原因を探ると、何のためにするか目的がはっきりしないことがあります。辞書(デジタル大辞林)によりますと、目的は「実現しようとしてめざす事柄、行動のねらい、めあて」であり、目標は「そこに行き着くように、またそこから外れないように目印とするもの」です。マネジメント理論の中では「目標について活動の目的や課題に期間と到達レベルを加えたもの」と表現されています。目的を意識し達成可能な目印として目標をかかげ、着実に達成を積み上げてゆくことが効果的です。

自身が取り組んだ事例を二つ紹介します。ひとつめはメタボリックシンドローム診断によってメタボ予備軍と診断され、課題として取り組んだことです。目的は「生活習慣を見直し健康的な身体づくりを目指すこと」としました。最初に達成可能な短期目標として「体脂肪を削減するための減量」に取り組みました。当面の目標に集中して意識し「減量」を数ヶ月で達成しました。短期目標としての減量の目標を達成した後、目的を改めて認識したこともあり、標準体重の大切さを認識し「体形維持」に取り組みました。また生活習慣の改善が必要ということに気づき、よりよい「生活習慣の定着」といった意識改革に取り組みました。

一年後の定期健康診断の時には、メタボ予備軍からは脱出することができました。その後ほっとしたせいか、油断があり一年毎に1kgずつ体重が増え血圧の値も状態を維持することはできませんでした。再度、前記目的を意識して「減量および血圧対策」の取り組みを開始しました。日々一万歩を歩く目安とし階段の利用を心がけること、加えて早足での大股歩行をすること、更に食事面の改善です。健康寿命にとって小食(節食)がよいので、今まで満腹感が得られるまで食べていたことを改め腹八分にすること。また体調を整えることに効果がある食物繊維を豊富に摂取すること。更に発酵食品のさまざまな有用性を考慮して積極的に摂取することにしました。もともと少量で赤くなるタイプのためアルコールはコップ一杯程度におさえるといったことも心がけました。本ケースで目的を意識せず、ダイエットのため、数キログラムだけの減量だけを目標としていたら、その目標だけを達成し満足して時間がたってからリバウンドして元の体型に戻り、後で何のためにダイエットしたのだろうかと思っていたに違いありません。

もうひとつ事例を紹介させていただきます。定年後の生活を考えている50歳代の方に特に関係あるテーマです。会社の年金制度が確定給付型から確定拠出型となり、会社の保障から個人の自己責任による運用へと変わることになりました。年金も2014年4月以降60歳を迎えた方より61歳以降に2年毎に公的年金の受給開始が遅れることにより、60歳以降考えると資金運用を含めたお金に関する知識の必要性を痛感しました。更に会社での休日を利用したライフスタイルセミナーを受講したこともきっかけとなり、お金に関する知識が必要だということを強く認識しました。

そこで「お金に関する知識の習得」ことを目的としAFP(Affiliated Financial Planner)資格取得を最終的なゴールとしました。ファイナンシャルプランナー知識はライフスタイル・資金運用・税金・リスク(この場合は保険)相続等幅広い知識が必要とされます。生活に密着し、これからの人生設計に必要だという認識を持ったことも目標として目指した要因です。一挙にAFP資格取得を目指すのではなく、目標の構造化によりゴールを目指すこととしました。最初の短期目標はファイナンシャルプランナー3級資格取得、中期目標としてファイナンシャルプランナー2級資格取得、AFP認定研修終了後最終的にAFP資格習得することを目指しました。

一気に最終のゴールを目指すのではなくその道筋を考え、そのステップとして実現可能な目標を設定し積み上げていく姿勢が、結果として無理なく目的の実現に結び付きました。本ケースでは、いきなりAFP資格を目指すというやり方も考えられますが、集中した勉強時間の確保、やる気の継続、費用の確保といった課題があります。

© 2015Mitsuhiko Tokunaga, All rights reserved.

異動・転職は戦略的に

異動や転職など所属組織が変わることは人生において、大きな節目だと思います。私も過去に上司や人事部に相談し、異動させていただいたことが何回かあります。最も記憶に残っているのは、入社後6年目を迎えたときのことです。入社後ずっと同じチームに所属しており、責任ある仕事を任せていただいていました。居心地は良かったものの、この広い世の中でもっと色々な経験が必要なのではないかと迷いも生じていました。結果として異動をさせていただくことになりました。会社こそ変わっていないもの、その後も複数の部署や業務を経験して今に至っています。 

複数の異動の経験について、私は良かったと思っています。ただ、決して平坦な道のりではありませんでした。業務や環境が新しくなることで最も苦労することは、アウトプットが出せるまで時間を要することです。同じ業務や環境が長いほど、特に感じると思います。人間関係もゼロから作り直す必要があります。軌道に乗るまでのこの期間はなかなか辛いものです。

私は異動により自分の力不足を痛感しました。組織に縛られない専門性やスキルセットを身につけておく必要性について、身を持って感じました。つまりプロフェッショナルとして自立しないといけないということです。このことに気づけたことは良かったと思います。その後も複数の環境に身を置くことで、環境が変わっても生きていける強さが少しずつ養われた気がします。人間は環境が変わると活性化します。複数の業務や環境を経験することで、適性や活躍できる領域に改めて気づけるかもしれません。近年は新入社員を数年以内に必ずローテーションさせる企業も増えてきているようです。

社会人経験が少ないうちは全く業務が異なる職種や組織への異動も良い経験になると思います。年次があがると即戦力としてのアウトプットが求められます。よって、ある程度の年次を過ぎた後は過去の経験が繋がった異動が有利だと思います。注意点として、組織が異動先を決めるときには、各人の希望やキャリアを一番に考えてくれるわけではありません。人が足りないところへの配置が優先になります。専門分野や過去の経験がつながらない場合もあります。また、異動は半年から1年で繰り返すものではなく、数年に一度のものと思います。異動においては、可能であれば関係者に根回しを行い、一定のリスクは覚悟のうえで、慎重に戦略的に行う必要があるでしょう。一方、想定外の異動が思わぬチャンスをもたらすこともあるかもしれません。

特定分野をずっと続けたいのか、色々とチャレンジしていきたいのか二つの考えに優劣はありません。仕事人生を大きな視点で捉え、現在の業務や立場をどの位の期間続けたほうが良いか、次に必要な経験は何か、戦略的に組み立てたいものです。キャリアに正解はありません。自分で正解を導き出すしかないのです。