作成者別アーカイブ: 田島悠史

困難な状況を前向きな心で乗り切る方法

タイトなプロジェクトや困難な業務の渦中にいるときなど、心身が本調子でない時は誰しもあると思います。

心と身体は相互に関連が強いものですから、困難な状況においては心身両面からのケアが必要になります。本稿では現在の日本においては、身体の健康に比較して知識の浸透が十分でないと思われる、「良い心の状態を保ち困難な状況を前向きな心で乗り切る方法」について、実体験を踏まえて述べたいと思います。

いわゆる「メンタル」は心の病気にかかってしまったあとを指す場合が多いと思いますが、今回述べたいのは健常な人が良い心の状態を保つための方法についてです。心理学や脳科学の知恵を活用します。

心理学は長い間、精神の疾患の部分を中心に研究されてきましたが、1998年頃より健常な人の生活をより充実させ生産性をあげるものとしても研究されるようになりました。それらのエッセンスは主に欧米の有名大学・有名企業で積極的に取り入れられ、近年では専門家でない人たちもその知恵の恩恵を享受出来るようになりました。日本でもベストセラーになったものをはじめとする複数の翻訳本や、ゴールデンタイムのTV番組でも取り上げられたことがあるので、ご存知の方もいらっしゃることでしょう。

その中で紹介されている効果的なプログラムを1つご紹介します。

それは、「1日に3つ感謝すること(ありがたく思うこと)を21日間書き出す」プログラムです。騙されたと思って、是非、やってみてください。家族、健康、仕事、友人、環境、長所、得意なこと、過去の経験・・・・など何でも良いのですが、思いついたことをとにかく21日間毎日書いていきます。私は携帯電話のメモ帳を活用して、21日間寝る前や通勤電車の中で書き続けてみました。細かいことも含めて、100以上感謝することを列挙することが出来ました。

もともと私は置かれている状況について、良くない側面に目を向けたり、余計な心配をしてしまうところがありました。このプログラムをきっかけに物事の良い面に意識をフォーカスすることが少し出来るようになりました。さらに物事の捉え方は自分の脳が周囲の環境や状況をどう処理するかにかかっているだけということにも気付きました。

プロジェクトマネジメントのコミュニティで活動しているくらいですので、私は目標を設定したり計画をきっちり立ててから動くことが好きです。行動の優先順位を決定し軌道修正しながら常に新たな目標を設定し続けるため、現状に満足感を持つ時間が少なかった気がします。「ポジティブな考え方をする人はネガティブな考え方をする人より生産性が高い。成功するために頑張るのではなく、現状へのポジティブ度合いを高めることが成功するために重要。」という興味深い主張をしているハーバード大学の先生もいます。現状に満足せず頑張ることも大切なことですが、現状に満足することもまた大切なことだと思います。

ちょっとした考え方や心の持ち方の違いですが、良い心の状態を保ち困難な状況や仕事を乗り切るために、心理学や脳科学の知恵は有用に感じています。

本日は、このような記事を書く機会をいただけたパーソナルPMコミュニティに感謝して(笑)、筆を置きたいと思います。

運動部で学んだこと

 自身が物事に取組む姿勢を学んだのは、大学で所属したスキークラブにあると思っています。当時すでに創立35年を超えていたそのクラブでは何事にも真剣に取り組む姿勢が文化として確立されていました。オフシーズンは陸上トレーニングを十分に行い、大会に向けて冬は1か月に及ぶ長期合宿を行います。合宿では上級生の指導のもと、朝から夕方まで毎日練習に励みます。上下関係がしっかりしており、食事の準備や洗濯は下級生が行います。下級生は先輩を起こし早朝から全員で体操をします。下級生は部員を喜ばせるため、様々なコスチュームでスキーをしたり毎晩芸を披露したり、合宿を盛り上げることも求められます。ここでは書けない類のイベントも色々とありました。今の時代にはそぐわない部分もあるかもしれませんが、メンバーの結束は今でも固く、物事に取り組む姿勢を学んだ一番の良い経験でした。

 仕事も遊びも真面目に取り組む姿勢は今も大切にしています。能動的な姿勢で物事にあたることは、自分自身にとって気持ちの良いものです。仕事もプライベートも予定の多い状態のほうが充実した気分を味わえます。受身の姿勢よりまずは積極的に何でもやってみる姿勢のほうが、お客様からも仲間からも良い印象を持たれることが多いです。意外なことですが忙しくて大変な時ほど、同時に複数の成果が上げることが多い気がします。これまでの自身の経験からも、自分から能動的に動くことでチャンスが回ってくるものと思っています。

 大学卒業後、スキークラブの仲間達とは毎年夏に1泊2日の旅行をしています。海で子供達と遊んだり、バーベキューや花火をしたりすることは、1年を通じて最も楽しみなイベントの1つになっています。この集まりは彼是10数年も続いており、これからも続いていくことでしょう。

異動・転職は戦略的に

異動や転職など所属組織が変わることは人生において、大きな節目だと思います。私も過去に上司や人事部に相談し、異動させていただいたことが何回かあります。最も記憶に残っているのは、入社後6年目を迎えたときのことです。入社後ずっと同じチームに所属しており、責任ある仕事を任せていただいていました。居心地は良かったものの、この広い世の中でもっと色々な経験が必要なのではないかと迷いも生じていました。結果として異動をさせていただくことになりました。会社こそ変わっていないもの、その後も複数の部署や業務を経験して今に至っています。 

複数の異動の経験について、私は良かったと思っています。ただ、決して平坦な道のりではありませんでした。業務や環境が新しくなることで最も苦労することは、アウトプットが出せるまで時間を要することです。同じ業務や環境が長いほど、特に感じると思います。人間関係もゼロから作り直す必要があります。軌道に乗るまでのこの期間はなかなか辛いものです。

私は異動により自分の力不足を痛感しました。組織に縛られない専門性やスキルセットを身につけておく必要性について、身を持って感じました。つまりプロフェッショナルとして自立しないといけないということです。このことに気づけたことは良かったと思います。その後も複数の環境に身を置くことで、環境が変わっても生きていける強さが少しずつ養われた気がします。人間は環境が変わると活性化します。複数の業務や環境を経験することで、適性や活躍できる領域に改めて気づけるかもしれません。近年は新入社員を数年以内に必ずローテーションさせる企業も増えてきているようです。

社会人経験が少ないうちは全く業務が異なる職種や組織への異動も良い経験になると思います。年次があがると即戦力としてのアウトプットが求められます。よって、ある程度の年次を過ぎた後は過去の経験が繋がった異動が有利だと思います。注意点として、組織が異動先を決めるときには、各人の希望やキャリアを一番に考えてくれるわけではありません。人が足りないところへの配置が優先になります。専門分野や過去の経験がつながらない場合もあります。また、異動は半年から1年で繰り返すものではなく、数年に一度のものと思います。異動においては、可能であれば関係者に根回しを行い、一定のリスクは覚悟のうえで、慎重に戦略的に行う必要があるでしょう。一方、想定外の異動が思わぬチャンスをもたらすこともあるかもしれません。

特定分野をずっと続けたいのか、色々とチャレンジしていきたいのか二つの考えに優劣はありません。仕事人生を大きな視点で捉え、現在の業務や立場をどの位の期間続けたほうが良いか、次に必要な経験は何か、戦略的に組み立てたいものです。キャリアに正解はありません。自分で正解を導き出すしかないのです。