成功を他人と共有する!

昔話をすると歳が知れるのですが、このLessons Learnedを書くためには避けて通れそうにありません。

その昔、東北に赴任し、複数のプロジェクトをかけ持ってどれも予定どおり完了しないといけませんでした。昼の移動は時間がもったいないので夜行列車で動き、車内で準備したりしていました。成果が出ると会社の表彰を次々に受け、仕事に自信がつき始めていました。

そこへ大先輩のセールスマンが言いました。「自分だけで結果が出せていると思うな、裏方もいるのだから」。最初は言訳が口に出たのですが、内心ではプロジェクト成功以外は何も考えていない自分に気づかされました。反省したその後も何度か繰り返してしまいました。

東京に戻ったあとですが、新しいプロジェクト複数の経験の後、今度は大プロジェクトを率いていました。お客様は1件なのですが組織がたくさんあり、お客様の各組織とのコミュニケーションが不可欠でした。そうこうするうち、社内を軽視する同じ癖が再び出ていたのです。営業トップから私に一言ありました。「あっ、同じだ」と成長しない自分に呆れ、今度は言い訳などせず、態度を直す努力を始めたのが唯一の進歩でした。しかし簡単なことではありませんでした。

数年後、プロジェクトの事業を率いていました。色々な改善を進めただけでなく、危ないプロジェクトを早くみつけ問題を未然に防ぐことは事業の成長に欠かせません。判明次第自分の直下にそのプロジェクトを異動し、全力で挽回に努めました。数年経って業績や顧客満足度に成果が表れてきました。過去の反省から社内の大勢のモチベーションを欠かさない一方で、いつの間にかシニアな人達は放置するというパターンに陥っていました。もし問題があっても叱れば直してくれる強い人達と安易に考えていたのです。

しかし皆人間ですから強さに大差はありません。今度は同僚の役員からいわば仕事の独占というような指摘です。こうなると表面の態度の問題ではなく、考え方、つまり自分の座標軸には何か不備があると考え始めました。何のために仕事をするのかだけでなく、どんな人生を生きるかということに通じる課題です。そのような失敗を繰り返しつつも、忙しい中でそれを考えるようになりました。

答は簡単ではありませんでしたが、何度も考え書籍を読んだりしてやっといくつかの新しいLessonsに気づくことになりました。その一つが個人的成功を他人と共有するということです。私自身の過去の問題への共通の解答でした。

これを含め複数の新しい教訓にたどり着いたとき、私は無性に後進の指導を始めたくなりましたが、仕事の環境がそれを許してくれません。ここぞとばかり難しいプロジェクトの支援に送り込まれました。並行して大学院複数で夜間に教鞭をとり始めたのはそこからです。あ、やはり年寄りの昔話に陥った感じです。皆様の成果に結びつけるための昔話ですからどうぞ御容赦ください。

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踏み込んでくるソフトウェア

マメに手紙を書かないのを筆不精といい筆者もその仲間だと思います。Facebookを略しFBと書くことが多いようですが、面白いことに筆不精(FB)でもFacebookには頻繁に投稿する人がたくさんいます。つまり反対に筆マメです。
筆者はLinked-inにずいぶん早くに参加したのですが、返事を放置しているうち何度もパスワードを忘れて設定しなおし、今では忘れたまま放置する有様で、コンタクトされる皆様にご迷惑をかけています。

そういうわけでTwitterやFacebookは避けていましたが、研究室の連絡にFBが使われ始めたため、観念して昨年参加しました。1年経ち、案の定発信は稀となり、受けた友達リクエストも溜っています。老人クラブ化するリスクを感じ、時々若い人に承認やリクエストを送りますが、基本的にやはりFB=筆不精となっています。
そこへソフトウェアの技で来る「知り合いかも」が大体は的中なのに驚きます。ネット広告も同様なのですがCX(UX、顧客体験)へ向けてどんどんパーソナライズされ、まさにマス・カストマイズ時代になってきたと思います。

例えば、結婚式へ祝電を打つと付近の住まいの宣伝などが出るのもそれですが、病院の検索をすれば葬儀場や墓のPRが出るのは明らかに行き過ぎに見えます。こういうのは相手の立場に立っていませんから、決して良いCXにならないでしょう。
そういうソフトウェアにこそ相手に貢献する気持ちが必要と感じます。ミッションやビジョンの定義、目的・目標の構造が必要で、例えば「パーソナルPMのフレームワーク」のような定義を組み込んでしまえばよいと思います。人間で実行がなかなか難しい、そういうことでもソフトウェアなら実現できますから(^-^)。
さて、ここには筆不精の直し方が書ければ良いのですが、いくら懲りてもそれはまだありませんため出てきません。ここで言いたいのは、相手に踏み込むには、相手の立場で考えないといけない点です。それを突き詰めていくと、結局のところ相手の成功や成長に貢献するということです。
その昔いろいろなお客様に恵まれたのですが、現場を担当されていたお客様のたくさんの方々とは今でもお付き合いがあります。あとになってその背景や理由をじっくり考えてみますと、運よく相手個人の成功にも貢献できたケースばかりです。

仕事がうまくいっても個人の成長に貢献できない場合があり、そういうケースではこんな関係にはなりません。皆様の場合はいかがでしょうか?
関係者への接し方の具体的な方策として、企業ではマーケティングの方策が使われますが、個人活動では必ずしもそうはいきません。息の長いステークホルダーへの接し方は、表面的な活動だけですむことはありません。長期間の言動には考え方が顕れるからです。パーソナルPMのフレームワーク中の活動の中では、分り難いためかLLのケースがなかなか出てきにくいですが、最も重要な点だと思います。

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困難な状況を前向きな心で乗り切る方法

タイトなプロジェクトや困難な業務の渦中にいるときなど、心身が本調子でない時は誰しもあると思います。

心と身体は相互に関連が強いものですから、困難な状況においては心身両面からのケアが必要になります。本稿では現在の日本においては、身体の健康に比較して知識の浸透が十分でないと思われる、「良い心の状態を保ち困難な状況を前向きな心で乗り切る方法」について、実体験を踏まえて述べたいと思います。

いわゆる「メンタル」は心の病気にかかってしまったあとを指す場合が多いと思いますが、今回述べたいのは健常な人が良い心の状態を保つための方法についてです。心理学や脳科学の知恵を活用します。

心理学は長い間、精神の疾患の部分を中心に研究されてきましたが、1998年頃より健常な人の生活をより充実させ生産性をあげるものとしても研究されるようになりました。それらのエッセンスは主に欧米の有名大学・有名企業で積極的に取り入れられ、近年では専門家でない人たちもその知恵の恩恵を享受出来るようになりました。日本でもベストセラーになったものをはじめとする複数の翻訳本や、ゴールデンタイムのTV番組でも取り上げられたことがあるので、ご存知の方もいらっしゃることでしょう。

その中で紹介されている効果的なプログラムを1つご紹介します。

それは、「1日に3つ感謝すること(ありがたく思うこと)を21日間書き出す」プログラムです。騙されたと思って、是非、やってみてください。家族、健康、仕事、友人、環境、長所、得意なこと、過去の経験・・・・など何でも良いのですが、思いついたことをとにかく21日間毎日書いていきます。私は携帯電話のメモ帳を活用して、21日間寝る前や通勤電車の中で書き続けてみました。細かいことも含めて、100以上感謝することを列挙することが出来ました。

もともと私は置かれている状況について、良くない側面に目を向けたり、余計な心配をしてしまうところがありました。このプログラムをきっかけに物事の良い面に意識をフォーカスすることが少し出来るようになりました。さらに物事の捉え方は自分の脳が周囲の環境や状況をどう処理するかにかかっているだけということにも気付きました。

プロジェクトマネジメントのコミュニティで活動しているくらいですので、私は目標を設定したり計画をきっちり立ててから動くことが好きです。行動の優先順位を決定し軌道修正しながら常に新たな目標を設定し続けるため、現状に満足感を持つ時間が少なかった気がします。「ポジティブな考え方をする人はネガティブな考え方をする人より生産性が高い。成功するために頑張るのではなく、現状へのポジティブ度合いを高めることが成功するために重要。」という興味深い主張をしているハーバード大学の先生もいます。現状に満足せず頑張ることも大切なことですが、現状に満足することもまた大切なことだと思います。

ちょっとした考え方や心の持ち方の違いですが、良い心の状態を保ち困難な状況や仕事を乗り切るために、心理学や脳科学の知恵は有用に感じています。

本日は、このような記事を書く機会をいただけたパーソナルPMコミュニティに感謝して(笑)、筆を置きたいと思います。

家事をインスタントタスクとして実施

自身、定年が近づいていることもあり、最低限の家事が出来るようにしたいと考えはじめたところです。数年前から、考えていたことですが、頭と行動が別で「よし、やろう!」という風には踏ん切りが付きませんでした。

そこで、ラーキンのインスタントタスクの方法を取り入れてみることにしました。ラーキンのインスタントタスクは、数分以内にできることを、目標を達成する行動の中から、切り出し手をつけるものです。 なぜなら、大上段に「??料理をつくる」ということだと、何に手をつけてよいか考え込んで、後回しにして時間が無いからと言い訳をし、結果として出来なかったというように成りかねないからです。

インスタントタスクとして、頭に浮かんだものは以下です。「茶碗など洗い物をする。」「洗ったものを拭いて食器棚に収納する。」「キャベツを千切りにする。」「洗濯物を干す」「洗濯物を入れる」「ごみをまとめる」「ごみを出す」「米を研いで炊飯器に入れ、スイッチを入れる」「風呂を洗って、スイッチを入れる」「ヒーターに灯油を入れる」などです。更に余裕あれば、「味噌汁のために具を用意する」「魚を焼く」などです。インスタントタスクとして切り出すと、自身の好きなサスペンスドラマや時代劇など、コマーシャルの間でも可能です。

このように数分で出来ることから、はじめると、慣れないことでも、出来そうだということが、頭にインプットされ、出来るようになります。1日に4回程度でも20分です。一か月では10時間も家事に取り組んだという実績ができます。妻にも好評です。夕方、自身の方が早く帰宅しているときなど、ご飯と味噌汁を作り、洗濯モノを取り込むことなどを行います。妻からは、安心して外での用事に専念できるようになったと言われています。
インスタントタスクの実行が習慣づくと、応用で料理なども出来そうな気になってきます。
今まで家事をほとんどしてこなかった人にとっては、大進歩だと思いませんか?

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料理ができる男

ある時私はミシュラン三ツ星シェフの記事を読みました。理路整然とした 素晴らしい仕事ぶり、料理をする姿がカッコいい!以前から料理する男の姿に憧れはありましたが、”いや~無理です。できるわけないです。あなたITの人間でしょ?”などと自己批判し諦めていました。しかし、レシピがあれば一般の方でも料理はできますと言うコメントに乗せられてついに料理をすることを決意します。

俺料理できるんだぜ?なんて言えたらカッコいいな、と想像しつつまずは道具を揃えましょう。三ツ星シェフは道具にこだわります。その気になっている私は数万円の鍋や包丁を揃え、シェフのレシピ本も手に入れて、いざ料理するぞ!と意気込み、材料を調達しようとしたところ…トリュフに金目鯛に…あれ?…トリュフ?いくらするの?どこで売ってるの?金目鯛?魚さばけないけど………あぁ面倒くさい。そうして三ツ星シェフに憧れた私は包丁を握る前に挫折したのでした。

★★教訓1★★
その道のトップの話を見る聞くと一時的にできそうな感覚に陥る。そしてそれはただの妄想である。

数年後…イケメンアイドルがカッコよく料理するを姿をテレビで見ます。料理ができる男性はカッコいい!またもや料理ができる男に憧れた私は料理することを決意します。しかし、前回の教訓はいかさないと。トップレベルの料理は作れそうにないことはわかっているので今回は”男のための簡単料理本”を購入です。うん!これなら自分のレベルに合っていてできそうだぞ。その中からスペイン風オムレツを選択。なんか名前がカッコいいし、今まで食べたことないし、材料も玉子に野菜にお肉と近くのスーパーで手に入るぞ。

いざ調理を開始。調理器具は無駄に高価なモノがそろっています。下ごしらえも順調。そしてフライパンに材料を投入!野菜が結構余りそうだから多目に入れようかな。野菜好きだし、いい料理人は材料を使い切るって聞いたことがあるぞ。そしてオムレツのための玉子を投入!すると……あれ?!?!?玉子で閉じれない!!え?もしかして…野菜が多すぎて玉子で閉じることができないっ!!!その間にもどんどん玉子は固まっていきます。そして最終的にできたモノは…肉野菜炒めスクランブルエッグ。

★★教訓2★★
レシピは守れ。最初からアレンジするな。

数ヶ月後…料理の鉄人が麻婆豆腐を作っているのを目撃します。麻婆豆腐は何度か食べたことがあるし、そもそも簡単に調理できるレトルトっぽいのを見たことがあるぞ。前回の教訓をいかせ!最初はこれでいいじゃないか!豆腐にネギに簡単調理のソースを購入。レシピ通りにできた!見た目も抜群!いざ食してみると…あれ?そう言えば私は豆腐があまり好きじゃなかった…

★★教訓3★★
目標にとらわれて目的を見失うな。自分の価値感も大事にね。

数日後…誰にでもできると言われている究極の素人料理カレーライス。もうこうなったらこれしかありません。カレーは子供の頃から大好きです。器具がある、レシピがある、材料はぶつ切りするだけ、調理は材料と市販のカレールーを鍋に投入して待つだけ。。。できた。。。。そして口に入れると~美味い! でも…あれ?そういえばカレーって学生の頃散々作ってたっけ…

★★教訓4★★
自分の能力を覚えておけ!

その後…
 
今でも対外的に料理ができますとは言えません。イケメンアイドルが作るようなオシャレな料理もできません。しかし、レシピと材料があれば大抵の料理はできます。というよりもレシピと材料を見れば”自分が作れるかどうか”の判断がつきますし、どうしても作れるようになりたい場合は何回か練習すればできるだろうなとの予測が立てられます。そして何よりも料理する事自体が好きになりました。

★★最終的な教訓★★

何度失敗しても立ち上がって行動・改善すればある程度できるようになるし、新たな価値が生まれる。重要なのは動き出すこと。

振り返ると無駄な事してるなぁとも思えますが、現在の能力を考えると上記4つの失敗は本質的な失敗ではなかったと思います。できるようになるために必要な過程でした。行動したことが重要であって始める前から批判したり諦めたりするのが最も愚かなことだと。妄想だっていいじゃない!行動するきっかけになれば。最初に妄想したような”人に振る舞える料理が作れる”ようになったわけでもないですし、人に自慢することもありません。しかし、何もしない頃と比べれば能力向上は明らかですし個人的には満足しています。
 

★★簡単な分析と自分へのアドバイス★★

1回の行動につき複数の過ちを犯していますが、主な種類は大きく以下の4つです
◯自分の現状(レベルや能力種)を把握していない
◯先人の知恵に従っていない
◯目的と目標が明確になっていない
◯権威に惑わされて自分の価値感を忘れている
 
これらを踏まえて過去と未来の自分にアドバイスするとしたらどうでしょうか?
まず、格好つけたいのか、料理ができるようになりたいのかを明確にする。前者ならば、それは本当に料理で表現する必要があるのか?もしかしたらファッションでもよいのではないか?後者であれば、次に自分のレベルにあった料理を選択する。そして、本来の自分の価値観を確認し料理を選択する。これで少しは近道できそうです。

現状はabiltにより抽象化された能力習得法があるので始める前から諦めることはありません。自分の能力を形式化し、その能力を習得するまでの行動も構造化され記録されています。したがって忘れても、今後似たような能力が必要になったらそれを参照し思い出し、新しい能力習得に活かすことができます。またPPMの手法により習得までの期間を短縮したりスケジュールも管理できるでしょう。最初の行動まではいくつかの心理的要因によりますが、いざ行動を開始したらPPMやabiltのような手法を用いることで効率化できますし、心理的にもモチベーションがあがったり、楽しんだりできます。先人の知恵やテクノロジーをお借りできる毎日に感謝です。

大地震への備えは頭で考えるだけでも有益

2011年の東日本大震災は未だに影響が去らないほど大きかったと思います。得た色々な教訓は、前向きに生かしたいものです。

その時某学会の研究大会が文京区の大学であり、筆者は発表寸前で座席でちょうどノートPCを用意していた時でした。揺れに驚きそのPCで調べて大地震とわかりました。妻の実家がある地域への津波の予報がありましたが、親せきが多く心配でした。電話はもちろん通じません。部屋の出席者多数に状況を伝え、筆者は発表をやめてすぐ退出することにしました。まもなく大会の事務局からも連絡が入り、全員が階段を歩いて建物を出ました。周囲の人たちに伝えてすぐに会場を後にしました。

そこからが肝心の話です。まず近くの電気屋でラジオを買い、自転車屋の場所を尋ねました。そのラジオで交通情報を聴きながら、滝野川の自転車屋へと急ぎました。1度使うだけの一番安い自転車を買い、前籠をつけてもらいながら店員にも足を確保したほうが良いと伝えたら、皆さんキョトンとしていました。後日のニュースではその後2時間で都内の自転車が売り切れたようでした。

ふだん持ち歩いている小さな方位磁石を頼りに、自転車で住まいの浦和へと向かいました。途中のコンビニで、念のために電池とパンなどを求め籠に満載して走りました。スマホなら方位も分かり情報も多くとれますが、そういうときは電池はなるべく節約するとよいと思います。途中の牛丼屋が営業していたので、念のために夕食をとりました。交通渋滞と歩道上の雑踏で意外にスピードが出ず、20キロほどを合計4時間かかって帰宅しました。

テレビやインターネットが津波の様子を伝えていました。妻の実家が津波で全壊したのを知るのにも、助かった義母を迎えに行くのにも、その後だいぶ日にちがかかりましたが、ここでは割愛します。使った自転車には滝野川警察署の鑑札がついています。

自転車の鑑札

今もある不要な1台ですが、番犬の代り(?)となっています。津波で失った妻の実家跡の地域にはまだ手がついていませんし、義母は現在は設備のよい介護施設を避難先としており戻れません。とはいえ、嫌な思い出は忘れて、爪痕は教訓としてだけ頭に残したいものです。

実は、その昔東北へ赴任していた時代に宮城県沖地震に遭遇しました。いつもの出張中ではなく珍しく仙台のオフィスにいました。激しい揺れに思わず壁に背中をつけて立ち上がりましたが、多くの社員は日頃のガイドのとおり、冷静に机の下に伏せていました。しかし、揺れで机が勝手に動いて行ってしまうとは誰も考えていませんでしたし、椅子が移動して外に面するガラスに当たりそうで危険でした。

電話は不通となり、交通はすぐ渋滞しました。お客様の状況は非常用電源のあるテレックスや無線などで段々とわかりました。そのうち日没で暗くなり、筆者は8キロ程を歩いて帰宅しました。途中パン屋に寄ると売り切れのため食パンの耳を無料で分けてくれ、電気屋では電池は売り切れのため使いかけの電池を無料でくれたのに感激しました。近所に倒壊した家もありましたが、住まいの借家は外見は無事。しかし案の定、家の中は戸棚や冷蔵庫まで倒れ、ガラス片だらけで惨憺たる状態の暗闇でした。妻や幼い子達のケガがないのが幸いでした。ライフラインが止まり数日間は食料も売り切れ、もらった電池も2日で全て切れました。東京から車でかけつけた社員の食料や非常用ライトなどの救援物資がとても有難かったものです。

そのときの教訓で、地震の際にやるべきことが頭にしみつき、迷わずに行動できたものです。「備え」とはいえ、実際は頭の中だけでの備えにすぎません。それでも、その有無で結果に大きな違いがでます。パーソナルプロジェクトであれ、何事であれ、個人にとって「頭で進行を考えておく」ということが、日ごろからの重要なリスクマネジメントの知恵であり、災害への備えであると思います。もっと厳しい災害がいつなんどき起きるかわかりません。

大災害に備え、リスクや危機への備えを今一度頭の中でシミュレーションし、いざという時の行動を確かめ、腹を据えるのが良いと思います。(2016年10月29日)

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雑魚キャラのように闘う

30年ぶりに再開した柔道を、今も細々と続けている。道場以外にも、筋トレに通い、毎日、最寄りより遠い駅に自転車で通勤し、少しでも進歩しようと試みてはいるが、50歳のおじさんが急に強くなるわけもなく、大人の中で僕が一番弱いのは変わらない。

道場に最近、中学生が入門してきた。休まず、一所懸命に練習しているが、大人たちにはなかなか歯が立たない。ある日、道場の先生が僕を指して彼に「まずはこのおじさんを倒すのを目標にしなさい」と話していた。越えられるかもしれない目標を提示して、やる気を失わないように、という配慮であろう。それは分かる。

ただ、その時、僕の脳裏によぎったのは、「俺は雑魚キャラか…?」ということだった。「俺様を倒さなければ、あの方に相見えることはできん!」と大見得を切るものの、案の定、主人公にあっさりとやられてしまう、昔の漫画によく出てきた“最初の関門”的キャラである。知っている人しか知らないと思うが、「北斗の拳」のジャギや、「魁!男塾」の男爵ディーノとかが代表格であろう。当然、当時20代だった僕はそんな雑魚キャラに特別な注意を払うこともなく、あるいは嘲笑、冷笑し、ケンシロウや剣桃太郎といった主人公キャラに自分を重ねていたのであった。

話は変わるが、この歳になって柔道を再開し、気付いたのは「自分がいかに負けること、恥をかくことを恐れているか」ということだった。とにかく、投げられるのが怖くて嫌でたまらない。手加減されるのも許せない。結果、やられまいとして身体はガチガチになり、やられる回数は減るものの、そんなに固くなっていては満足に技もかけられない。

反面、新しく入ってきた中学生も、たくさんいる小学生たちも、嬉々として、自分よりはるかに強い大人たちに稽古をつけてもらっている。何回投げられようが、お構いなしに飛びかかり、技をかけ続けている。

その姿を見て、自分が柔道を始めた高校生の時を思った。自分も彼らと確かに同じで、やられてもやられても、自分より明らかに強い相手に立ち向かっていた。

社会人としての自分はどうだろうか?新人の時はどんな仕事でも、たとえ失敗する可能性が高い提案やプロジェクトであっても、必死になって取り組んだ。それが年月がたち、上司という立場になり、責任を負い、適当に世間ずれし、仕事も少しはできるようになって、失敗できなくなり、そして失敗する回数も減っていった。否、失敗する可能性があることに挑戦しなくなっただけなのかもしれない。

そう考えると、今まで歯牙にもかけなかった雑魚キャラのすごさが身に染みてきた。確実に勝てない相手に対して不敵なセリフをはき、立ち向かい、そしてやられる。可能性としては二つしかない。被我の実力差が分からないほど頭が悪いか、負ける可能性が高いことを知っても立ち向かう勇気があるかだ。漫画での描かれ方からは、前者の可能性が高いことが強く示唆されてはいるが、雑魚キャラとて闘う者のはしくれ、僕でさえ見た瞬間、組んだ瞬間に感じられる実力差が分からないはずはない。勝てると思って、勝つことを信じて闘う主人公より、負けると知ってなお闘う雑魚キャラの方が、本当は勇気があるのではないか。

柔道でも仕事でも、いい雑魚キャラになりたい。一回もやられたくないとガチガチに守るより、十回投げられてもいいが一回でも倒すという闘いをしたい。それができて初めて、「負けない代わりに勝ちもしない」毎日を乗り越えることができるのだろう。

けれども、たとえそうしたとしても、僕は2~3年後に高校生になった彼に投げられるだろうし、十回やられるだけで一回もやれないかもしれないし、それはもしかしたら柔道だけではなくて、仕事も人生もそうかもしれない。それでも雑魚キャラらしく、最後まで不敵なセリフをはき続けていたいと思った。

 

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やる気を失う要因の逆は、必ずしもやる気を出す要因ではない

ある時パーソナルPMの追究メンバーで、「自分でやる気を出す方法を整理してみよう」ということになりました。やる気を出す方法は書物やWebにずいぶん沢山出ています。ところが人によっては全然効き目がなさそうなものも見当たります。特定の人の状況での経験や、仮説などですから、そういうこともあるでしょう。

カテゴリー分けを試みると最初はおよそ40の方法になりました。それらの効果を何らかの根拠に基づいて検討したいわけです。プロジェクトマネジメントの知恵は実践の積み重ねによる形式知です。それに倣って、メンバーが自分の経験を振り返り、「やる気が出なくなるケース」をできるだけたくさん挙げようということになりました。
メンバーからは出るわ出るわ、やる気をなくすケースなら何と沢山あることでしょうか。「特別に頑張って結果を出したのに上司が気付かない」「出勤前に配偶者に愚痴を言われる」「昇給が同期より少ない」「皆の前で怒られた」「仕事場の雰囲気が暗い」など、80数ケースも出てきました。カテゴリー分けを試みていった結果24種類になりました。
やる気を出す方法は、組織に有効でも個人には効かなそうなものを外していったん33個となりました。やる気をなくす要因の行とやる気を出す方法の列をマトリックスにすると交点が800近くあります。それらを一つずつ点検していきました。やる気をなくす場合に、各方法が効くかどうかを点検したわけです。
その過程で、やる気のない状態から脱出できるものの、「何かに挑戦したい」とか「やる気に火が付く」といったところにまでは至らない場合があることに気付きました。モチベーション理論における『ハーズバーグの2要因説』の通りなのでした。積極的な動機づけをする要因と、動機を失う要因(衛生要因)とがあり、後者を解決しても前者になるとは限らないという理論です。ハーズバーグが示す動機づけ要因から4カテゴリーをマトリックスの行に追加し、カテゴライズを修正し22種が残りました。つまり最終的には24x22を点検したことになります。

こうして「個人がやる気を出す方法10選」を選ぶことができました。もし私達が基礎理論を先に何も検討していなかった場合は、そのようなことに気付かなかったのではなかろうかと、半分ゾッとしたのでした。

組織のPMではメンバーの動機づけやソフトスキル面がしばしば議論されます。そういう場合も毎度ゼロから議論するのではなく、心理学の基礎的な理論等をある程度踏まえたうえで自由に議論することが、建設的な結論を得るには大事なことだと思いますが皆さまはどう思われますか?

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パーソナルPMとファイナンシャル・プランニングの関わり

人生の夢や目標をかなえるために総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く方法としてファイナンシャルプランニング(以降FPと呼ぶ)があります。
個人を対象とし個人の目的や目標を目指すという点で、パーソナルPMとFPは共通点があります。

パーソナルPMがモダンPMの考えや特に個人のやる気に注目し、FPが経済的側面を重視している点では違いがありますが、目指すところは一緒です。

そこで、FPが扱っている以下の6つの領域を検討してみます。
①金融資産運用設計②不動産運用設計③ライフプランニング・ リタイアメントプランニング④リスクと保険⑤タックスプランニング⑥相続・事業承継設計
これらは、パーソナルPMとしても、とても大切な領域です。

個人にとって、経済的な側面で、インパクトが大きいのが住宅取得、教育費、老後の費用です。その為に、中長期的な計画をしっかり立て早い段階から準備し、リスク対策をしっかり、行っておくことが必要です。
日頃から家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度などの知識に関心を持つことが、大切になってきます。

個人版の事業計画とも言うべき、年毎の収入と支出を明確にしたライフイベント表を作成し、将来、お金がいくらかかるかということを家族の中で会話をするだけでも、将来への不安を、少しづつ拭い去ることができます。

ライフイベントの変化があるときは特に要注意です。例えば保険の見直しが必要になります。子供が小さいときと、自身の死亡保障は大きく、子供が就職したときは、死亡保障は少なくして、逆に医療保障を充実させるといったことも対策が必要になります。

もちろん、ライフイベントにおいて、リスクへの備えも必須です。
自身を含めた家族の重い病気への備え、教育費が上振れする場合の対策、加えて、身近な人の介護が必要になった場合や認知症になった場合などです。また、相続などの問題も起こることも考えられます。

人生の夢や目的、目標に向けた中長期計画を策定し、ライフステージ毎に見直し、あらかじめリスクを想定し対策を練っておくことが、とても大切だと思います。

© 2016Mitsuhiko Tokunaga, All rights reserved.

衣替えごとの片づけについて

衣替えの季節ですが、いつも失敗するクローゼットの片づけについてパーソナルPMを利用しようと思います。

片づけが苦手な筆者としては、個人の性格の違いか、男女の違いか、整理してみたいと考え、周囲の人たちに調査しました。一般的に女性の方が買い物好きで、物を捨てられないタイプが多いと感じました。女性は「値段が高かったものについて、特に傷んでもいないものは捨てるのがもったいない」という考えからではないかと思います。一概に男女の違いとは言えないのですが、モノを大切にするため捨てられないというだけでなく、女性は男性より空間整理が苦手だからではないかと推理しました。

最近流行している片づけコンサルタント近藤麻里恵(コンマリ)さんの「人生がときめく片づけの魔法」[1]によると、だれでも片づけができるようになり、一度きれいにすると、リバウンドはしないという内容が書かれていました。

コンマリさんのやり方は、一度に家じゅうのものを集めて全部 “ときめく”か、“ときめかないか”を見極めてときめくものだけを家に残す、というやり方です。筆者には、その時間がとれません。てっとり早く近藤さん(こんまりさん)にお願いしたい気持ちです。

でも我が家のステークホルダーである夫は片づけ上手な一番身近な先生です。きっと、先生を見習えばクローゼットを片づけるという目標を達成できると思います。そして一番喜んでくれると、思います。

夫の片づけについての考え方は単純明快です。「同じ種類のものは同じ場所にしまうこと」、「取り出して使ったら、また元の場所に戻すこと」、「必要以上にものを増やさないこと。つまり新しいものを一つ買ったら、一つ捨てること、二つ買ったら、二つ捨てること」です。確かに、洋服に限らず買ったら捨てる、とすれば、物があふれることは、ないというわけです。理屈はわかるのですが、なかなか実践できず、捨てるのを、あとからにしよう、とか、もう一回使ってから、とか、誰かにあげるのでその時までしばらくだけしまっておこうとか、考えてしまい、やはり片づけが遅れ、失敗しています。

筆者の夫は、衣替えの季節にいつもクローゼットを使いやすいように整理します。夫の領域と筆者の領域は分かれていますので、自分の不要な洋服を整理し、ごみ袋に入れ、捨てておくよう依頼されます。夫の基準は、充分着たと判断したものつまり着古したものや色あせたものを入れ替え時期と判断し、ごみ袋行にします。そして捨てたものと同様の役割を果たすものを補充します。買い物は一緒に行くこともありますが、ほとんど筆者の担当になっています。衣替えの一連の流れは夫にとっては季節の変わり目ごとの通常のタスクですが、筆者には、なかなか大変な作業ですので、パーソナルプロジェクトマネジメントとして取り組むことにします。クローゼットの自分の部分だけですが、この夏、挑戦します。

いつも言い訳にしている「忙しいから」とかは、止めます。

アラン・ラーキンの「時間の波に乗る19の法則」[2] によると、「忙しい人ほど時間がある」と書いてあり、優先順位をつけてA,B,CのAだけについてやるなど、時間を上手に使って、忙しいからという言い訳をするのはやろうとしていないだけだそうです。
改めて私も片づけプロジェクトに、着手することにしました。

LL:洋服を買うときは、どれの代わりにこれを使用するのか、クローゼットのどの場所にこれを配置することになるかを、考えることにしようと思います。まさにパーソナルプログラムマネジメント[3]の中の「ステークホルダーの賛同/好感を得ることができる」はずです。

参考文献

[1]近藤麻理恵著 「人生がときめく片づけの魔法」 サンマーク出版社

[2]アラン・ラーキン著 奥健夫訳 「時間の波にのる19の法則」 サンマーク出版社

[3]パーソナルPM研究会/冨永章編著 「パーソナルプロジェクトマネジメント」 日経BP社