教訓メモ解読・「全体を見直す」

「何かに失敗した際、教訓をメモに残してきたが書くと安心するのか忘れてしまう。パーソナルPMコミュニティの活動として各自の教訓(Lessons Learned)を公開することになったが思い出せない。昔書いたメモを探し出し、その教訓を書いた経緯と理由を思い出すことにした」

「教訓メモ解読」と題した短文の主旨は以上の通りである。今回は2005年11月26日に書いたメモを再掲する。

 

全体を見直し、

優先順位を付ける

バランスをとる

やれないものは断る

 

古いノートの1頁に以上の4行が大きい字で書かれていた。自分で書いたことを忘れていたので「書かれていた」と受け身の文にしておく。

抱えている案件の全体を見て大事な案件がどれか優先順位をはっきりさせる。案件には仕事もあれば仕事以外もある。仕事以外とは家庭の諸事を指す。仕事と家庭のバランスをとるには実行が難しい案件が来たとき「やれません」と断らなければならない。

4行について解説は不要だと思う。できるかどうかはさておき当たり前のことである。ノートの隣の頁には「2006年について」と題が書かれ2006年に取り組むべき案件が列挙されていた。2006年の活動計画をあれこれ考えているうちに「全体を見直し、優先順位を付けなければ」と思い立って4行を大書したのかと言えばそうではない。

4行は反省文である。これを書いた2005年11月は2003年から取り組んできたプロジェクトの打ち切りが決まった時だった。失敗した原因は色々あったがプロジェクト内の諸活動そして自分自身の諸活動について優先順位をうまく付けられなかったことが影響した。

「やれないものは断る」という1行の文字は他の3行のそれに比べやや小さい。やれない案件までやろうとしたことを反省した様子がうかがえる。

そのプロジェクトとは新雑誌の創刊であったが誰のためにどのような雑誌にするかという編集方針をまとめるだけで1年以上を費やした。しかも創刊前の試験版を数冊発行するたびに編集方針が揺れ動いた。

10年以上前のことを思い出しながら書いているが数行の編集方針をつくるのはなかなか辛い仕事であった。「こうしたい」という思いはあっても簡潔に表現するのは難しい。なんとか書き上げた方針をプロジェクト内外の関係者に見せて同意を求める段階になると色々な指摘が出てくる。指摘を方針に反映するにせよ無視するにせよ交渉や説明がついてまわる。とにかく面倒だった。

それよりは取材をして記事を書く方がはるかに楽しい。乱暴に言うと勝手に進められるからである。試験版を出すために取材と執筆活動を始めると楽しい仕事に集中してしまいプロジェクトの全体が見えなくなった。

全体が見えない様子をもう少し説明してみる。取材をして記事を書く仕事は小さいながら一つのプロジェクトである。雑誌を一冊作るとなると複数の記事が必要になる。雑誌発行プロジェクトの中に記事の執筆や編集という小プロジェクトが複数入る。それぞれの小プロジェクトにおいて取材をどこまで重ねるか、いつから書き出すか、優先順位があるわけだが記事の本数が増えると頭の中で整理できなくなってくる。

面倒なので一番面白そうな案件から取材を始める。予想通り興味深く取材をもっとしたくなって他の小プロジェクト取材の合間に予定を入れたりする。他の小プロジェクトの進行や仕事以外の案件に悪影響が出る。もぐら叩きのような状況に陥り、雑誌創刊プロジェクトへの目配りができなくなる。

プロジェクトを止めた直接の理由は採算であった。「とにかく作ってみよう」と思っていたが本来なら編集方針を早めに固め、事業を成立させる方策を検討しなければならなかった。2015年の今振り返ってみると工夫の余地は色々あったと思うが後の祭りである。

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