頼りにしていたメンバーが会社を辞めたいと言ってきました。8月末に「退職願」を出してきました。何度も取り下げるよう頼みましたが気持ちは変わらず、9月末に退職してしまいました。このメンバーは技術力も知識もある、ベテランのグループリーダーでした。
今開発中のプロジェクトは1年前の10月から分析が開始され、来年の11月に本番を迎えます。彼は中心的な立場でしたので来年の11月までは一緒に目標に向かっていくものだと当然のように思っていました。だれも引き留めることができませんでした。引き継ぎはそれぞれのメンバーに対して行われ、引き継ぎ資料も整理されていました。
退職希望については半年前に一度聞かされていました。今回は2回目となりますので予測しておくべきだったかもしれません。あるいは他の対応策があったかもしれません。
半年前の辞めたい理由には、体制図と実態が合っておらず、立場と役割の不明確さが一番でしたので、グループリーダーとしての立場と役割を明示しました。
目標を明確にし、自身の立場も明確にしましたので納得して会社に残ることを了解してくれました。
また、仕事のマンネリ化、保守・維持している業務範囲が5、6年間変わらず面白みが減っている、自身のスキルアップが図れない、また開発を依頼してくる客先のメンバーのスキルが低すぎる、というものもありましたが、これについては我々の努力により興味を持てるような工夫と提案をしていきましょうと助言し、納得してもらいました。
自分に関しては今までプロジェクトの途中でやる気をなくしたプロジェクト(目標)は個人プロジェクトを除き、ほとんどありません。やる気をなくすようなプロジェクトについては思い出せないか記憶から抹消しているだけかもしれませんが。
先日「こころのチキンスープ5」を読んで気づきました[1]。彼に対して人前でほめたことはなかったような気がします。
彼の仕事ぶりについては、正確さと的確なスケジュール管理および作業指示について、みんなが信頼していることは彼には周知の事実だと思っていました。振り返ってみると「ありがとう」という言葉はよく使っていましたが、「人前でほめる」ということは一度もなかったような気がします。彼が辞めた今になって反省しています。
彼の自尊心を認めて、評価して気持ち良く仕事ができるような環境にしていなかったと、大いに反省しています。
やる気がなくなった彼がやる気を出すようにするには、どのようにすればよかったでしょうか。
パーソナルプロジェクトマネジメントの「やる気がなくなった時に効果がある解決策」10項目のうち、彼にも当てはまるものがあったでしょうか[2]。
それは「目標の明確化」「人に宣言」「時間割」「とにかく行動」「ライバルへの意識」「他人のためにやる」「モデルになりきる」「座右の銘を携帯」「自分に掛け声」「自分にご褒美」という10項目です。
彼へは「目標の明確化」「人に宣言」「他人のためにやる」「自分にご褒美」があてはまったかもしれません。
しかし、やはり「人に宣言」ではみんなの前でグループリーダーの紹介として発表しましたが、「ご褒美」というものはありません。「ご褒美」とは、みんなの前で「ほめる」ことにあてはまるかもしれません。彼の場合、できて当然と認識していたので人前でほめることには至りませんでした。
今後、やる気対策を立てておくということを実践しようと思っています。予防策としてはどうすればよいかも一緒に検討すればやる気喪失は軽減または解決されるはずです。
やる気対策として個人プロジェクトの場合は「自分をほめる」という1項目を追加したいと思います。そして組織プロジェクトの場合、やる気がなくならないよう「ほめる」ということを習慣づけたいと思います。
みなさんも、プロジェクトの途中でやる気がなくなった時、今までがんばってきた自分をほめてみませんか。
ついでに「こころのチキンスープ 5 自分の仕事好きですか」に、ほめるコツが書いてありましたので書いておきます。その場でほめる、心からほめる、具体的にほめる、面と向かって直接ほめる、ほめた後に批判を付け加えない、日常的にほめる。
参考文献
[1]ジャック・キャンフィールド ジャクリーヌ・ミラー著 由布翔子訳「こころのチキンスープ 5 自分の仕事好きですか」 ダイヤモンド社
[2]パーソナルPM研究会/冨永章編著 「パーソナルプロジェクトマネジメント」 日経BP社
実感こもってますね。ほんとに。
私もめったにほめたりはできませんが、最近気づいていることを述べます。
直接相手に対する褒め言葉でなくとも、その人が行った結果の事象とか、選択したものとか、あるいは買ったものとか、行った場所とか、そういうものを誉めることで間接的にほめたことになるという点。思いがけないつながりとか、めったにほめない人がそういうことを言うから効果があるのかもしれませんがね。どうでしょう。
早速のコメントありがとうございます。貴重なアドバイスもありがとうございます。
普段からレビューばかりしていますので、
記載されている文書に間違いがないか、関連するドキュメントとの
整合性や機能間の妥当性を見たり、また要件に合致しているか、要件を満たしているか、
対応の漏れがないか、無駄が無いか、など、意地悪な目線を養ってきたように
思います。職業病でしょうか。それで「ほめる」ということはいかに難しいかを
実感しています。「ほめられて育つタイプなんです」と自分から宣言する人もいます。
そういう人はほめたくないのですが、考え直してみようと思います。