時には、上司に対してリーダーシップ発揮する場面も

リーダーシップとは、「目標を設定し、他人に影響力を発揮して、目標の達成を目指して望ましい行動を起こさせること」です。組織では、上司が部下を鼓舞して指揮命令を発揮して、組織の目標達成にまい進するという風な印象を持っておられる方が多いと思いますが、パーソナルPMの視点では、異なります。ステークホルダーとして考えられるのは、仕事では上司、場合によっては、同僚、後輩、家庭では、家族、特に配偶者です。よって、上記ステークホルダーに対して、影響力を発揮し、目標を達成する必要があるからです。

自身の例ですが、会社で品質文書を改訂し、上司に説明・承認いただくといった時にも影響力を発揮しなければならないと感じことがありました。事業責任者に説明し、検印いただくときに、普段会話をしている直属の上司と同じように、変更点を中心とした説明をしたために、事業責任者から理解が得られず、承認いただけなかった経験があります。この場合、自身の視点ではなく、事業責任者の立場にたち、品質文書の内容はともかく、事業責任者の考えを常に掴む努力をし、細かい説明よりも、経営的な側面で全体の流れや変更内容をわかりやすく説明すればよかったと反省しました。

影響力を発揮するとは、要因としてどういうものがあるのでしょうか? チャルディーニ「影響力の武器」にもありますが、そのひとつに「権威」があります。ただ、パーソナルPMでは、期待できません。 専門性でリーダーシップを発揮するという考えもありますが、限られた領域だけしか通用しません。そこでもっとも大切なのが、あの人のいうことなら何でも信用できるという信頼感です。
また、前記「影響力の武器」にて、「一貫性」も、大切な要因のひとつに分類されています。一貫している信念は、困難な場面において特に必要とされます。信念と実際の行動が異なる人は、疑念の目で見られることがあります。一貫している人の方が尊敬されます。

一貫している考え方の源泉は、明確なミッションとビジョンを持つことです。
ミッションは存在理由で、人生の目的や会社生活の目的といったことがあげられます。人生の目的を明確にすることが、強い動機に繋がります。

幕末、吉田松陰が「松下村塾」の塾生に向かって。「よく、君の志は何ですか?」といった問いかけをしたとのことですが、ミッションは「志」に相当します。その「志」が、明治維新に向かった原動力になったことに違いはありません。

ミッションの次に大切なのが、ミッションを達成するためのビジョンです。通常は、いつまでといった期限を意識した目標になります。ミッションから見れば、マイルストーンです。
このようなぶれないミッションを持ち、当面の目標としてビジョンを意識することが、一貫性を持つことに役立ちます。

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