救われた その一言が きっかけで

予想外に課長に昇格してしまった時にそれは始まった。
正確には課長扱いであった。(社内の)資格がまだ到達していなかったためである。
自分より前の世代の方がかなり退職されていたこともあり、若くしてお鉢が回ってきたというところであろうか。
その課は何年か前までは飛ぶ鳥も落とす勢いであったが、ここ数年は過去に出荷した製品のトラブルが多発して毎期赤字を出し続けている部門であった。社員の多くが各所のトラブル対応に出払っているという状態であった。
わたしは当時別の部門に所属していた。現地で苦戦していた大型案件に途中から入ってほぼ1年近くかけて落ち着かせ、次の開発を進めていた。その赤字部門に対しては批判的でその事業は止めたらと言ったこともあった。
だから、まさか自分がそこの部門の長に異動になるとは思いもよらなかった。口は禍の元である。
当然居心地は良くない。
それ以上に頭が痛かったのが、課長級以上の技術専門職だけでなく、主任クラスもみんな自分よりも年上のベテラン揃いであること。
その部門は自分の専門ではないので、どうしても彼らの話を聞きながら進めざるを得ない状況であった。
しかし、それをやっていてはスピーディに品質改善や赤字脱却への活動が進まないという悩みがあった。これまでの自分のやり方でやっても付いてきてくれないのでは、一緒にやってくれないのではないかと年上の方々への遠慮もあって苦悩の毎日であった。
そんな状態で2か月が過ぎようとしていたときに、前任の50代の課長(この方も全く別の部門から来られて1年でわたしに交代)から声をかけられて次の助言を頂いた。
「周りに遠慮せずに、自分の思うように、考えるようにやりなさい。
自分の考えでやってみて、ダメなら自分の考えがダメだったと納得もするし、反省して次に生かせるけど、周りに言われてやっても得るものないよ。」
これはわたしにはとてもありがたい言葉であり、これまでの悩みは吹っ切れて、精神的には楽になった。
それ以降、最後は自分の考え、やり方でやるようにして、徐々に赤字を減らして2年目の下期には赤字脱出を果たすことができた。
この一言を頂いた(ひと回り上の)大先輩には本当に感謝しており、今は自分より若い人たちに同じような場面があれば、この言葉をかけている。

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